過ぎ去りし恋

「過ぎ去りし恋」は、1968年12月5日にリリースされた日本のロックバンド、ザ・ゴールデン・カップスによる通算5枚目となるシングル楽曲です。この楽曲の作詞はケネス伊東、作曲はエディ藩が担当しました。また、B面にはルイズルイス加部が作詞・作曲を手掛けた「午前3時のハプニング」が収録されています。両曲ともに、編曲は村井邦彦が手掛けています。

このシングルは、前作からおよそ3ヶ月の間隔で発売されました。特筆すべきは、A面およびB面共に、メンバー自身が作詞・作曲を担当している点です。これは、ザ・ゴールデン・カップスがバンドとしてのオリジナリティを追求し、彼らならではの音楽世界を表現しようとする強い意志の表れと言えるでしょう。

しかし、本楽曲が制作され、世に送り出された1968年後半は、グループにとってメンバー構成に大きな動きがあった時期と重なります。同年7月には、ドラマーであるケネス伊東がビザの都合により一時的にグループを離脱。これに伴い、キーボーディストのミッキー吉野が新たに加入しました。その後、10月にはケネス伊東が無事グループに復帰を果たしますが、復帰後の彼の活動は、以前のようにステージの前面に立つ形ではなく、裏方としてグループを支える役割が中心となります。事実、このシングル盤を含め、復帰以降に発売されたレコードのジャケット写真には、ケネス伊東の姿は見られなくなりました。

こうしたメンバーの流動的な状況や、中心メンバーの立ち位置の変化といった背景の中でレコーディング、発売されたためか、残念ながら楽曲の商業的な成功は限定的でした。日本の主要な音楽チャートであるオリコンでは、最高順位が89位に留まり、前作と比べてセールスが低迷する結果となりました。これは、同時期の他の人気グループの楽曲と比較しても、振るわない成績と言えます。

一方で、シングルのジャケット写真には、発売当時のザ・ゴールデン・カップスのメンバーが写っていますが、彼らが着用している鮮やかな衣装は、著名なファッションデザイナーであるコシノジュンコが特別にデザインしたものです。このことからも、当時の日本の音楽シーンにおける彼らの存在感や、アートワークへのこだわりがうかがえます。

収録曲の詳細は以下の通りです。

A面：過ぎ去りし恋 (Goodbye My Love)
作詞：ケネス伊東
作曲：エディ藩
編曲：村井邦彦
B面：午前3時のハプニング (Happening At 3 O'Clock A.M.)
作詞：ルイズルイス加部
作曲：ルイズルイス加部
編曲：村井邦彦

この楽曲は、1968年という日本のグループ・サウンズが成熟期を迎えつつも、その後の音楽シーンへと変貌を遂げていく過渡期に発表された作品として、ザ・ゴールデン・カップスの歴史の一コマを彩っています。関連事項としては、当時の音楽業界の動向を知る上で「1968年の音楽」という文脈で語られることもあります。

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