過去七仏

過去七仏：釈迦牟尼仏以前の七人の仏陀

仏教において、釈迦牟尼仏以前に既に七人の仏陀が存在したとされています。これが「過去七仏」です。彼らは釈迦牟尼仏の成仏に至るまでの道のりを示す重要な存在であり、過去仏信仰の基盤となっています。

七仏の一覧と概要

過去七仏は、古い順に以下の通りです。それぞれの仏陀は、独自の時代背景、生涯、教えを持っています。

1. 毘婆尸仏 (Vipassī): 勝観、浄観とも訳されます。過去91劫、寿命8万4千歳の時代に、槃頭婆提城で誕生しました。クシャトリア出身で、波波羅樹下にて成道し、多くの弟子を導きました。
2. 尸棄仏 (Sikhī): 式、式棄とも訳されます。過去荘厳劫の千仏のうち999番目の仏陀です。寿命7万歳の時代に、光相城で生まれ、分陀利樹下で成道しました。
3. 毘舎浮仏 (Vessabhū): 一切勝、一切有とも訳されます。過去31劫、寿命6万歳の時代に、無喩城（諸説あり）で誕生しました。クシャトリア出身で、婆羅樹下にて成道しました。
4. 倶留孫仏 (Kakusandha): 成就美妙、頂結とも訳されます。現在賢劫の最初の仏陀です。寿命4万歳の時代に、安和城で生まれ、尸利樹下で成道しました。多くの遺跡が残されていると伝えられています。
5. 倶那含牟尼仏 (Koṇāgamana): 金仙人、金寂静とも訳されます。現在賢劫の二番目の仏陀です。寿命4万歳（諸説あり）の時代に、烏曇婆羅樹下で成道し、多くの弟子を教化しました。多くの遺跡が残されていると伝えられています。
6. 迦葉仏 (Kassapa): 飲光と訳されます。寿命2万歳の時代に、尼拘律陀樹下で成道しました。
7. 釈迦牟尼仏 (Śākyamuni): 我々がよく知る仏陀です。

過去仏信仰

仏教では、釈迦牟尼仏の功績は単なる一代限りのものではなく、過去の仏陀たちの功徳の積み重ねの結果であると説きます。この考え方は古くから存在し、インドの古代遺跡にもその痕跡が見られます。

興味深いのは、釈迦牟尼仏に反旗を翻したとされる提婆達多ですが、提婆達多派では、釈迦牟尼仏を除く過去六仏を信仰していたという記録が残されています。このことは、釈迦牟尼仏出現以前から過去仏信仰が存在していたことを示唆しています。

関連仏典

過去七仏に関する記述は、『長阿含経』の大本経、『仏名経』、七仏経など多くの仏典に見られます。これらの仏典には、それぞれの仏陀の誕生から涅槃までの詳細な記述、教え、そして弟子たちの活動などが記されています。

異なる記述

様々な仏典に過去七仏に関する記述がありますが、仏陀の誕生場所、寿命、成道の場所など、細部において食い違う部分も見られます。これは、経典の伝承過程における変化や、地域差による解釈の違いなどが影響していると考えられます。

まとめ

過去七仏は、仏教の歴史と教えを理解する上で重要な存在です。彼らの生涯、教え、そして過去仏信仰の背景を知ることで、釈迦牟尼仏の教えをより深く理解し、仏教の世界観をより豊かに感じることができるでしょう。それぞれの仏陀に関する記述は、複数の仏典を参照し、多角的に検証することで、より正確な理解へと繋がります。

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