過誤腫

過誤腫とは？

過誤腫（hamartoma）は、腫瘍と奇形の中間的な性質を持つ病変として認識されています。しかしながら、過誤腫と良性腫瘍、さらには過形成との境界は曖昧で、研究者間でも意見が一致しない部分があります。

病理学的な定義によれば、過誤腫とは、臓器や器官を構成する細胞や組織成分が、その臓器内で過剰に発育または増殖した状態を指します。重要な点は、過誤腫を構成する細胞は周囲の正常な細胞と同一であり、成熟した細胞で占められているということです。また、過誤腫から新たな組織や器官が派生することはありません。

肺過誤腫：過誤腫の代表例

過誤腫の中でも、肺過誤腫は病理学的に診断される機会が多く、代表的な例として挙げられます。多くの場合、胸部X線検査やCT検査で偶然発見されます。画像上では、孤立した円形の陰影（coin lesion）として観察されます。

手術で摘出した病変を顕微鏡で観察すると、気管支軟骨が限局的に増殖し、その周囲に嚢胞状または分岐した気管支上皮が付着している様子が分かります。これらの軟骨や気管支上皮は、正常な気管支を構成する成分と同一であり、成熟した細胞から成り立っています。しかしながら、その構造は「奇形」と表現することもできる、特異な形態を示します。

重要なのは、肺過誤腫は放置しても急激に増大したり、周囲の組織を浸潤・破壊したりすることはないという点です。この性質から、良性腫瘍様病変（benign tumor-like lesion）と呼ぶことも適切と言えるでしょう。

過誤腫の診断と治療

過誤腫は、画像検査（X線検査、CT検査など）で発見されることが多く、組織検査によって診断が確定されます。良性であるため、多くの場合、経過観察のみで問題ありません。しかし、症状がある場合や、病変の大きさが大きくなってきた場合などは、手術による切除が検討されます。手術は、病変の大きさや位置、患者の状態などを考慮して決定されます。

まとめ

過誤腫は、腫瘍と奇形の中間的な性質を持つ病変で、正常な細胞の過剰な増殖によって生じます。肺過誤腫は代表的な例であり、画像検査で偶然発見されることが多い良性病変です。症状がなければ経過観察で問題ありませんが、必要に応じて手術が行われます。過誤腫と良性腫瘍、過形成との区別は難しい場合がありますが、その性質を理解することで、適切な診断と治療に繋がるでしょう。

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