道竹城

道竹城の概要

道竹城（どうちくじょう）は、鳥取県岩美郡岩美町新井にかつて存在した日本の山城です。この城はJR岩美駅前にある標高150mの山がその跡地にあたります。道竹城は古代から中世にかけて多くの歴史的背景を持ち、地域の防衛において重要な役割を果たしました。

歴史的背景

道竹城の歴史は南北朝時代から室町時代中期にさかのぼります。それまで因幡国の守護所は現在の岩美町の二上山城に位置していましたが、時が経つと守護所は布勢天神山城に移転します。この移行により、二上山城周辺は荒廃し、治安状態が悪化しました。

地域の村民たちは、状況を危惧し、山名氏の総領である但馬山名氏に助けを求めました。その結果、三上兵庫頭豊範が二上山城の将として派遣されることになりました。三上豊範は、手狭で不便な二上山城に変わって、標高150mで小規模な道竹城を築き、居城としました。道竹城と二上山城は共に但馬山名氏の防衛拠点として機能しました。

道竹城の重要性は因幡山名氏の滅亡後も続き、但馬から山名豊定が入り、因幡一帯が完全に但馬山名氏の支配下に入ります。しかし、永禄年間には武田高信が山名氏から離反し、道竹城にいた三上豊範も武田と同盟を結びます。1564年には因幡守護の山名豊数が道竹城を急襲し、豊範は二上山城に逃げる途中で戦死しました。道竹城のその後は不明で、その歴史の詳細は謎に包まれています。

三上兵庫頭に関する異説

三上兵庫頭豊範に関する興味深い別の説もあります。中世史研究家の高橋正弘氏によれば、豊範は山名氏出身ではなく、近江系の三上経実であったとのことです。高橋氏の著作『因伯の戦国城郭 通史編』では、道竹城の防衛における豊範の役割が再評価されており、実際の戦闘がいつ行われたかについて新たな解釈が提示されています。永禄7年の道竹城合戦は存在せず、本当に討死したのは三上経実であるとされ、また、この説が現在有力視されています。

城の構造

道竹城の遺構は城全体にわたり、戦国時代の城郭の特徴を色濃く残しています。主郭を中心に約60段の削平地が配置されており、非常に異なる地形を活かした作りになっています。尾根には中規模の削平地があり、緊急事態に備えた防御の意図が感じられます。また、二重の堀切と畝堀はほぼ完全な状態で保存されており、鳥取県内では貴重な文化遺産です。

道竹城は歴史的な価値だけでなく、その見事な構造によっても注目され続ける城であり、地域の文化と歴史を知る上で欠かせない存在となっています。

もう一度検索