道詮

道詮（どうせん）とは

道詮は、平安時代前期の589年から873年まで生きた三論宗の僧侶です。彼は武蔵国出身であり、彼の生涯における多くの功績により、今でも多くの人々に敬愛されています。道詮の没年については876年とする説もありますが、一般的には873年とされています。

出家と学び

道詮は法隆寺の寿仁のもとで出家しました。その後、東大寺の玄耀のもとで三論教学を学び、さらに真言密教にも触れたと言われています。854年には大極殿での最勝会の講師を務め、857年には近衛前協議座の座主をつとめました。864年には権律師に任じられ、その後律師に昇進しました。

道詮は弘法大師との親交も深く、彼は伝燈大師とも称されています。また、彼は南都七大寺の僧綱も兼ねていました。

学問振興と業績

道詮は聖徳太子を尊崇し、法隆寺の夢殿を再興しました。彼は法隆寺における学問の振興に力を注ぎ、その功績が認められて道詮律師像（塑像）が夢殿の本尊脇に安置されています。この像は国宝としても知られています。

晩年の活動

道詮の晩年には、富貴寺を建立しました。また、隠居寺である福貴寺も設立しました。福貴寺は聖徳太子が建立したとも言われており、道詮が隠居後に六十坊を数えるほど繁栄しました。法隆寺の学僧からの請いに応じて、道詮は毎年夏に百ヶ日間にわたり、三経を講じていました。この活動により、民衆からは「福貴の道詮」と親しまれる存在となりました。

法隆寺では、道詮による百ヶ日三経が起源とされる夏安居（げあんご）が今でも行われています。この稽古は一般庶民にも公開され、法話の講座が設けられています。

密教の修行

道詮は福貴寺で密教系の修行僧として、「虚空蔵求聞持法」を修行し、自然智、すなわち優れた記憶力を得るための修法に励みました。この技術は、彼の学問や教えにとても重要な役割を果たしました。

墓所

道詮の供養墓は境内奥に位置しており、近世になってからも祀られています。この墓は道詮が貞観18年十月二日に亡くなったことを記しています。

彼の生涯と成した業績は、今でも多くの人々に影響を与えており、道詮の教えや彼による寺院の振興は、日本の仏教における重要な部分を形成しています。

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