遠藤常久

遠藤常久についての詳細

遠藤常久（えんどう つねひさ）は、江戸時代中期の美濃八幡藩の藩主であり、藩の歴史において重要な位置を占めています。彼は第4代藩主・遠藤常春の長男として生まれ、元禄2年（1689年）に父の死去に伴い、わずか7歳で藩主の地位を継承しました。齢の若さと急な藩主の座を受け継いだことが、後の運命を大きく左右することになります。

常久は、その短い在任期間において藩の政治や運営に関与することはほとんどなく、彼の任期は数年という非常に短いものでした。元禄5年（1692年）の春、常久は病に倒れ、痘瘡（疱瘡）により亡くなります。その死は、幼少ながらも藩主としての責任を担っていた彼の存在を一瞬にして消し去りました。ただし、彼の死には毒殺説が取り沙汰されており、これには当時の藩主を巡る権力争いが絡んでいると言われています。

藩の重臣である池田主馬は、藩主の死後に暗躍しようとしたとの噂が立ち、彼の子供を新たな藩主に擁立しようとする陰謀を企てたとされています。しかし、他の重臣達はこの陰謀に気づき、池田の計画を打ち砕くために団結しました。この騒動は幕府の耳にも入り、藩内の動乱を招く要因となったと言われています。

常久の死によって遠藤家は無嗣断絶の危機に直面しました。しかし、美濃八幡藩の歴史における先代の藩主・慶隆の名声が評価され、その功績を考慮した幕府の判断により、藩主の地位を継承する方法が模索されました。最終的には、遠藤家とは関係のない将軍・徳川綱吉の側室の妹と、白須氏の息子を養子として迎え入れることが決定されました。

この新たな藩主は遠藤胤親と名乗り、元禄時代の混乱の中にあっても、1万石での藩の存続が許されました。遠藤家の再興は、過去の功績を尊重しつつ、新たな血筋を以て行われることとなったのです。

このように、遠藤常久はその在任期間はごく短かったものの、美濃八幡藩の歴史において数多くの陰謀やドラマを内包する存在となりました。彼の意志と夢は短命に終わったものの、藩の存続と未来のために新たに立ち上がった者たちの姿は、長い時を経ても語り継がれることでしょう。

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