遠藤楽

遠藤楽（えんどう らく）

日本の建築家、遠藤楽（1927年3月13日 - 2003年7月24日）は、フランク・ロイド・ライトから直接指導を受けた最後の日本人として知られています。彼の父である遠藤新もライトに師事しており、親子二代にわたりタリアセンでライトの薫陶を受けたことは特筆すべき点です。遠藤楽は、日本国内に300件を超える建築作品を残し、その活動は北は青森県八戸市から南は鹿児島県まで広範囲に及びました。

生涯

遠藤楽は、1927年、東京府豊多摩郡和田堀町（現在の東京都杉並区）に、建築家・遠藤新と都の次男として誕生しました。1946年3月に自由学園男子部高等科を卒業後、和泉工務所に入社し、建築の世界に足を踏み入れました。

1949年には、父・遠藤新が主宰する遠藤新建築教室（後に遠藤新建築創作所、通称：新建創）に移り、本格的に建築の道を歩み始めます。そして、1957年3月、遠藤楽は、アメリカ合衆国ウィスコンシン州にあるタリアセンに渡り、憧れの建築家フランク・ロイド・ライトに師事します。ライトから直接指導を受けた最後の日本人となりました。1958年1月に帰国し、新建創に復帰。

1967年からは、帝国ホテル（二代目、通称：ライト館）の保存運動に積極的に参加し、1970年までその活動を続けました。この保存運動は、ライトの建築に対する深い敬意と、その遺産を守ろうとする遠藤の強い意志を示すものでした。

2000年10月には、フランク・ロイド・ライト建築保存協会から、ライトスピリット賞（特別賞）を授与されました。これは、彼のライト建築への貢献と、その精神を受け継ぐ姿勢が高く評価された結果です。さらに、2003年3月には同協会の名誉理事に就任し、ライト建築の保存と継承に尽力しました。

遠藤楽は、2003年7月26日、心筋症のためこの世を去りました。享年76歳。彼が設計した滝野川教会（東京都北区）でのお別れ会では、多くの人々が彼の死を悼みました。

主な作品

遠藤楽は、数多くの建築作品を手がけました。以下に代表的な作品を挙げます。

1960年：てんぷら天一（内装）
1963年：婦人之友社社屋
1966年：自由学園羽仁両先生記念図書館
1981年：自由学園創立六十周年記念講堂
* 1991年：滝野川教会

これらの作品は、遠藤楽の建築に対する情熱と、フランク・ロイド・ライトから受け継いだ建築哲学を体現しています。彼は、ライトの有機的建築の理念を日本風に解釈し、独自のスタイルを確立しました。自然との調和を重視し、素材の特性を活かした建築は、時代を超えて多くの人々を魅了し続けています。

遠藤楽の建築は、その美しさと機能性だけでなく、ライトの精神を受け継ぎ、日本の風土に根ざした独自の建築を追求した点において、日本の建築史に大きな足跡を残しました。彼の業績は、今後も多くの建築家や研究者に影響を与え続けることでしょう。

遠藤楽の生涯は、建築に対する情熱と、先人から受け継いだ精神を大切にしながら、自身の信念を貫いたものでした。彼の作品は、建築を通じて、私たちに豊かな感動と深い思考を与えてくれます。

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