遠藤温

遠藤温（えんどう おん）

遠藤温は、文政6年7月27日（1823年9月1日）に陸奥仙台藩領の桃生郡深谷北村（現在の宮城県石巻市）で生まれ、明治29年6月4日（1896年）に没した、幕末から明治時代にかけての政治家、弁護士です。彼は衆議院議員も務めました。

生い立ちと教育

遠藤温は、幼少期を現在の石巻市で過ごしました。その後、上京して昌平黌で経史を学びました。帰郷後は家業の醸造業を営む傍ら、子弟の教育にも力を注ぎました。この時期から、彼の教育に対する熱意と地域社会への貢献が見られます。

藩政への貢献と戊辰戦争

明治元年（1868年）になると、遠藤温は仙台藩の藩政改革に大きく貢献しました。その功績が認められ、藩世子の侍読と大番隊士に抜擢され、戊辰戦争で活躍しました。特に会津戦争では、会津藩の赦免を嘆願する活動に関与しました。

明治新政府での活躍

明治2年（1869年）、遠藤温は昌平黌の教授試補兼副舎長に任命され、同年5月には教授兼舎長に進みました。さらに7月には大学中助教となります。明治3年（1870年）5月には仙台藩少参事に任じられ、翌年には権大参事に進みました。明治8年（1875年）には宮城県参事となり、同年6月には判事を兼任しました。しかし、明治9年（1876年）には官職を辞し、代言人（弁護士）として活動を開始しました。

地方政治への貢献

明治12年（1879年）には宮城県会議員に選出され、副議長、常置委員を経て、明治17年（1884年）には議長に選ばれました。地方政治においても重要な役割を果たしました。

国政への進出と辞任

明治23年（1890年）7月の第1回衆議院議員総選挙で宮城県第5区から選出され、衆議院議員となりました。しかし、任期途中の明治24年（1891年）11月11日に辞任しました。国政では短期間の活動でしたが、その経験は彼の政治家としてのキャリアに重要な意味を持ちました。

親族

養子に衆議院議員を務めた遠藤良吉がいます。

まとめ

遠藤温は、幕末から明治にかけて、教育者、藩士、官僚、弁護士、そして政治家として多岐にわたる分野で活躍しました。地方政治、国政の両面でその才能を発揮し、激動の時代を生き抜いた人物として、その功績は高く評価されています。

参考文献

篠田正作 編『明治新立志編』鍾美堂、1891年。
衆議院、参議院 編『議会制度七十年史 第11』大蔵省印刷局、1962年。
『宮城県百科事典』河北新報社、1982年。
宮城県議会史編さん委員会編『宮城県議会史 第2巻』宮城県議会、1974年。

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