遠隔透視

遠隔透視（Remote Viewing）

遠隔透視とは、肉眼では見えない距離にある物体や情報を意識を使って取得する超能力の一種です。この能力は「遠隔視」とも呼ばれており、同様の現象に「千里眼」がありますが、遠隔透視はテレパシーと透視を組み合わせる形でも理解されることがあります。遠隔透視の概念は、自身の意識を肉体から分離させ、異なる場所にあるものを感知する力に関連付けられることが多く、体外離脱やアストラル投影とも密接な関係があると言われています。

歴史的背景

遠隔透視の研究は1970年代に本格化しましたが、その起源は18世紀後半のフランスにさかのぼります。当時のフランス人、ボティノーは、数百キロメートル離れた距離から船の接近を正確に把握する能力を持っていたとされています。彼はその能力を公式に認められるためにパリを訪れましたが、当時の人々の関心は薄く、ボティノーは幻覚扱いされてしまいました。彼の名前は広まらず、彼は自らの能力を理解されないまま世を去ったのです。

1970年代に入ると、アメリカ陸軍によるスターゲイト・プロジェクトが始まり、遠隔透視の研究が組織的に行われるようになりました。このプロジェクトは、参加したインゴ・スワンによって「Remote Viewing」の名称を付けられ、彼は遠隔透視の先駆者とされています。スワンはこのプロジェクト内で、木星の様子を透視した実績があり、他にも数キロメートル離れた場所を見ることができたとの報告があります。しかしながら、その信頼性が疑問視され、1995年にこのプロジェクトは終了しました。

1973年には、スタンフォード研究所でラッセル・ターグとハロルド・プットフが行った「プロジェクト・スキャネート」が注目されました。ここでは、スワンを含む被験者が参加し、遠隔透視の顕在化が試みられました。ターグらの主張は、遠隔透視が実在するというものです。

遠隔透視に関連する人物

1900年代後半から2000年代にかけて、遠隔透視能力者として名を馳せた人々には、ジェラール・クロワゼやジョゼフ・マクモニーグル、アメリカのナンシー・マイヤーなどがいます。彼らはテレビの番組に出演し、自らの能力を披露し過去の成功事例を語っていました。しかし、それらの放送は反響を呼びつつも、真実性については疑問が残るものも少なくありません。

懐疑的な視点

遠隔透視に関する批判的な意見も存在します。クリス・ロビンソンは、イギリスのテレビ番組で能力の再現性を検証されましたが、いずれの結果も成功とは言えないものでした。また、日本のテレビ番組に出演したマクモニーグルも結果に否定的な意見が寄せられました。懐疑派の意見には、テレビで放送された成功例が実は演出である、あるいは偶然の一致によるものなのではないかという指摘があります。

犯罪捜査において超能力が役立った例として紹介されることもありますが、コリン・ウィルソン氏はそのような成功例はほぼないと述べています。

結論

遠隔透視が現実として存在するとすれば、その可能性は多岐にわたりますが、スターゲイト・プロジェクトの終了に加え、徹底した科学的な裏付けが得られていないため、その実在は疑問視されています。このようなことから、遠隔透視は多くの人々にとって疑似科学の域を出ない印象を持たれることが多いのです。

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