遥かなるまわり道の向こうで

KANの14枚目のオリジナルアルバム『遥かなるまわり道の向こうで』は、2006年8月30日にリリースされました。前作から約5年というインターバルを経て発表された本作は、ファンにとって待望の作品となりました。このアルバムには、先行シングルとして既に発表されていた「カレーライス」を含む、合計10曲が収められています。

アルバム概要と制作背景

長きにわたるキャリアを誇るKANにとって、本作は通算14作目のスタジオアルバムとなります。2001年の『:野球選手が夢だった。』以来、およそ5年ぶりに届けられた新作として、そのリリースは音楽業界内外で注目を集めました。全10曲で構成される本アルバムは、シンガーソングライターKANのこの時期における創作活動の集大成と言えるでしょう。

作詞・作曲・編曲クレジット

本作に収められた全楽曲の作詞および作曲は、すべてKAN自身が手掛けています。彼の紡ぎ出す独創的な歌詞とメロディーが、アルバム全体の基盤を成しています。

編曲に関しては、多くの楽曲をKAN自身が担当していますが、一部の楽曲では共同編曲や小林信吾による単独編曲も採用されており、サウンドに多様性をもたらしています。

具体的には、アルバムの幕開けを飾る「世界でいちばん好きな人」、情感豊かな「小さき花のテレジア」、そしてアルバムタイトルを冠した「遥かなるまわり道の向こうで」の3曲（トラック1, 4, 8）では、KANと小林信吾が共同で編曲を手掛けました。また、アルバムを締めくくる楽曲「アイ・ラブ・ユー（version：CJP）」（トラック10）は、小林信吾が単独で編曲を担当しています。

収録曲

本アルバムには以下の全10曲が収録されています。

世界でいちばん好きな人
キリギリス
彼女はきっとまた
小さき花のテレジア
エンドレス
おしえておくれ
遥かなるまわり道の向こうで
カレーライス
RED FLAG（一般道路速度超過）
アイ・ラブ・ユー（version：CJP）

これらの収録曲の中には、発売後にシングルとして改めて発表された楽曲や、アルバムに先行してリリースされた楽曲が含まれています。アルバムの1曲目に配された「世界でいちばん好きな人」は、アルバムリリースと同年の2006年11月29日にシングルカットされました。既にファンに親しまれていた「カレーライス」は、本作に先行シングルとして収録されています。さらに、「アイ・ラブ・ユー（version：CJP）」は、その「カレーライス」のシングル盤にカップリング曲として収められていたバージョンが、本アルバムに採用されています。

特筆すべき楽曲

アルバム収録曲の中でも特に言及すべき楽曲として、「エンドレス」があります。この楽曲は、その音楽スタイルやKANのボーカル表現において、日本の著名なロックミュージシャン、浜田省吾へのオマージュが随所に感じられる仕上がりとなっています。

さらに特筆すべきは、この楽曲のレコーディングに参加したミュージシャンたちです。浜田省吾のライブツアーを長年支えているバンドメンバーが多数参加しており、ギタリストの町支寛二やキーボーディストの福田裕彦といったベテランミュージシャンたちの演奏が、「エンドレス」に厚みと深みを与えています。彼らの参加は、この楽曲の持つ浜田省吾へのリスペクトをより明確に示しています。

『遥かなるまわり道の向こうで』は、5年間の沈黙を経て届けられた、KANの円熟した音楽性が詰まった作品であり、その後の彼の活動においても重要な位置を占めるアルバムです。

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