選抜射手

選抜射手について

選抜射手（せんばつしゃしゅ）は、英語でDesignated Marksman（DM）と呼ばれる特異な役割を果たす兵士です。通常、アメリカ陸軍の歩兵小隊に所属し、800メートル以内の目標に対して高精度の射撃を行うために特別に訓練されています。選抜射手は、一般の歩兵と狙撃手の中間に位置する存在であり、正確さだけでなく迅速な攻撃を求められます。

他国の軍隊にも、選抜射手に相当する兵士が存在します。ロシアでは、ドラグノフ狙撃銃を装備した兵士が部隊に配備され、イスラエル国防軍では分隊狙撃手と呼ばれる者が同様の役割を担っています。

選抜射手と狙撃手の違い

選抜射手は分隊や小隊に属して行動しますが、狙撃手は通常、観測手や通信手といった少数のメンバーと共に行動します。狙撃手は専門的な知識や技術を必要とし、敵に見つからないように偽装された服装を着用します。一方、選抜射手は歩兵部隊と連携し、オートマチック式ライフルを用いて、目標を迅速に捉える役割が求められます。

選抜射手が使用する武器は、歩兵の小銃を狙撃銃化したマークスマン・ライフルです。このマークスマン・ライフルは、狙撃銃に比べてより高い射撃精度が求められ、通常はリュングマン式のAR-15系統であることが多いです。

マークスマン・ライフルの特徴

選抜射手が使用するマークスマン・ライフルは、一般的にセミオートマチック式で、光学照準器やバイポッドを装備しています。これにより、楽に精密射撃を行うことが可能となります。弾薬は互換性があり、通常は7.62x51mm NATO弾や7.62x54mm Rなど、強力な弾薬を使用します。

バトルライフルをベースにしたマークスマン・ライフル

バトルライフルをもとにしたマークスマン・ライフルの例として、M14、FN FAL、H&K G3などがあります。これらは高い射撃精度を維持しながら、近代的な戦闘においても重要な役割を果たします。

同様に、選抜射手はアサルトライフルを改造したマークスマン・ライフルも使用します。例えば、M16やその派生型などが一般的です。これらのライフルは、既存の主力武器との弾薬の互換性が高く、補給がスムーズであるメリットもあります。

世界各国での役割

イスラエル国防軍

イスラエルでは、1990年代に狙撃ドクトリンの改変が行われ、選抜射手が歩兵小隊に導入されました。これにより、選抜射手は重要な役割を担うことになり、特に第2次インティファーダではその効果が証明されました。

アメリカ軍

アメリカ陸軍では、M16を改良したSPR Mk12を使用しています。中東においての軍事活動が活発化する中、バトルライフルをベースとしたマークスマン・ライフルの需要が高まりました。また、G28 / M110A1が分隊指定射手ライフルとして配備されています。

ソ連の狙撃手

ソ連も独自に精密射撃ができる兵士を養成してきました。この兵士たちは当初から選抜射手としての役割を持ち、ドラグノフ狙撃銃を装備していました。こうした伝統は、現代でも大きな影響を与えています。

選抜射手は、精密射撃を行うために必要な技能や装備を身に付け、様々な戦場で重要な役割を果たしています。その存在が部隊全体の戦闘能力を向上させているのは疑いありません。

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