FN FAL

FAL（Fusil Automatique Léger）

FAL（フランス語: Fusil Automatique Léger）は、ベルギーのFN社が開発した自動小銃です。フランス語で「軽量自動小銃」を意味し、輸出向けモデルにはLAR（Light Automatic Rifle）という刻印があります。当初はアサルトライフルとして開発されましたが、主に7.62x51mm NATO弾を使用するモデルがバトルライフルとして運用されました。

開発の経緯

第二次世界大戦後、各国でフルオート射撃が可能な小銃の開発が進められました。ソ連はAK-47を開発し、西側諸国も独自のライフルを開発しました。FN社も1947年から弱装弾を使用するフルオート小銃の開発に着手しましたが、アメリカが7.62x51mm弾をNATO標準弾薬とすることを要求したため、FALもこの弾薬を使用するよう再設計されました。その結果、威力と射程は向上しましたが、反動が大きくなりフルオート射撃時の命中精度は低下しました。しかし、セミオート射撃の精度は良好だったため、フルオート機能を省略したモデルも生産されました。

作動方式と特徴

FALは、ガス圧利用（ショートストロークピストン式）で作動し、ティルトボルト式のボルト閉鎖機構を採用しています。様々なバリエーションがあり、折り畳み式銃床モデルやカービンモデルも存在しますが、全体的に全長が長く、市街地やジャングルでの取り回しには難点がありました。そのため、短機関銃と組み合わせて使用されることが多かったようです。

バリエーション

FALには、多くのバリエーションが存在します。

FALO: 分隊支援火器（軽機関銃）仕様で、肉厚銃身と二脚が追加されています。
FAL 50.61: 金属製折畳み式銃床を装備したパラトルーパーモデルです。
FAL 50.63: FAL 50.61を基に、銃身長を短縮したカービンタイプです。
FAL 50.64: FAL 50.61のロアレシーバーをアルミニウム合金製に変更した改良型です。

各国での採用と派生モデル

C1: カナダが採用したモデルで、インチ設計でフルオート機能がありません。
L1A1: イギリス軍が採用したモデルで、フルオート連射機能を省略し、泥や塵を排出するスリットを施したSLR（Self Loading Rifle）です。英連邦諸国もこれに追随しました。
1A: インドがイギリスのSLRを基に無許可で生産した模造銃です。
G1: 西ドイツが採用したモデルですが、ライセンス生産が認められなかったため、短期間で退役しました。
Romat: イスラエルが採用したモデルで、後期型はFN FNCと似たデザインの木製ハンドガードが特徴です。
Vektor R1: 南アフリカがライセンス生産したモデルで、R1（通常モデル）、R2（カービンモデル）、R3（セミオートモデル）があります。
Sturmgewehr 58: オーストリアが採用したモデルで、銃口消炎器にライフルグレネード射出用スリットが施されています。
T48 / T48E1: アメリカ軍の制式アサルトライフル選定のために生産されたモデルですが、不採用となりました。
M964: ブラジルの国営軍需企業インベル社が生産したFALのコピーです。
カザナヴSC-2005: ペルーのDesarrollos Industriales社が生産したFALのコピーで、5.56mm弾を使用する小口径化モデルです。
FM FAL: アルゼンチンの国営造兵廠FM社がライセンス生産したモデルです。フォークランド紛争では、イギリスとアルゼンチンの両軍が使用しました。

民間向けモデル

フルオート機構を除去した民間向けモデルも存在します。

LARコマーシャルモデル: アメリカに輸入されたセミオートモデルです。
SAR48: ブラジルのインベル社がアメリカ市場に投入したセミオートモデルです。
SA58: 米国DSA社が生産するカスタムモデルです。

使用国

FALは、以下の国々を含む70ヶ国以上で採用されました。

イギリス
カナダ
南アフリカ共和国
インド
オーストラリア
ベルギー
ドイツ
オーストリア
イスラエル
ブラジル
アルゼンチン

戦争・紛争での使用

FALは、以下の戦争・紛争で使用されました。

印パ戦争
ベトナム戦争
第二次中東戦争（スエズ危機）
第三次及び第四次中東戦争
バングラデシュ独立戦争
アンゴラ内戦
フォークランド紛争

現在では、多くの国で5.56x45mm NATO弾を使用する新世代のアサルトライフルに置き換えられましたが、地域紛争などでは依然として使用されています。また、スポーツ射撃や狩猟用として、民間向けモデルも販売されています。