選択債権

選択債権の概要

選択債権（せんたくさいけん）とは、債務の履行として提供される給付の内容が、複数の選択肢の中から当事者の選択によって決まる債権のことを指します。これは日本の民法406条に定義されており、特定の物を贈与する契約などが例として挙げられます。

たとえば、特定の馬または特定の絵画のどちらか一方を贈与する場合、その給付は選択債権に該当します。選択肢として提示される給付は特定のものでなくてもよく、種類的なものも含まれます。この場合、選択された種類の給付に関しては、一つの種類債権と同様に、履行が行われます。

限定種類債権との違い

選択債権は、その給付対象が明確である点で、限定種類債権とは異なります。例えば、土地の一部を賃貸する契約では、様々な場所が候補として存在する場合、選択債権とみなされます。これは、契約の内容に応じて特定の場所が選ばれることからも明らかです。

債権の履行不能の取り扱い

選択債権の重要な特徴の一つは、候補の一つが履行不能になった場合でも、他の選択肢が存在する限り、債権の履行は可能であるという点です。つまり、選択債権には、いわゆる代用権が認められており、他の給付に変更できることが法律上保障されています。これは、当事者間の合意や法律の規定によって成立します。

選択権の帰属

債務者が選択権を持つのが原則ですが、特約により債権者や第三者に帰属させることも可能です。選択権者が弁済期にある債権について、催告を受けた場合に選択を行わないと、その権利が相手方に移転してしまうこともあります。

また、第三者が選択権を持つ場合にも、その者が選択を行わない場合は債務者にその権利が移行するということを定めています。

選択権の行使方法

選択権を行使するには、相手方に対する意思表示が必要です。この意思表示は、相手方の承諾がない限り撤回できないため、注意が必要です。さらに第三者が選択をする際も、債権者や債務者に対する意思表示が求められます。

不能による選択債権の特定

給付の一部が履行不能になった場合、その責任が選択権を有する者の過失による場合には、残された給付が存在します。2017年の民法改正により、不履行の責任が選択権者の過失に基づく場合のみ、債権が残ることが明確にされました。これにより、選択権を有する者の過失がない限り、債権が特定されることがなく、選択権者がその発生を解除することが可能となります。

選択の効果

選択によって債権の具体的な目的が特定され、選択された内容は債権発生時に遡及的に効力を持ちます。ただし、第三者の権利を害することはできないため、この点には注意が必要です。この選択の自由が、当事者にとって重要な権利であることを理解しておくことが重要です。

まとめ

選択債権は、複数の給付の中から一つを選ぶことによってその内容が決まる特性を持った債権です。その特性理解と運用は、当事者間の法律関係を正しく把握するために不可欠です。

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