還住 (青ヶ島)

還住の歴史と青ヶ島の復興

還住（かんじゅう、げんじゅう）は、故郷を離れた後に再びその土地に戻ることを指す言葉です。本記事では、伊豆諸島の青ヶ島において、1780年から1824年にかけての噴火と復興の歴史をたどります。これらの出来事は青ヶ島の島民にとって、故郷愛と再生の物語とも言えます。

噴火前の青ヶ島の状況

青ヶ島は、その歴史の初期において不便な絶海の孤島でした。現在のところ、いつから人々が青ヶ島に住み始めたのかは不明です。縄文時代や弥生時代の遺跡が発見されておらず、文献資料も乏しいためです。しかし、15世紀になると青ヶ島に人々が住んでいた記録があります。この島は群れを成す黒潮に囲まれ、船の航行が非常に難しい場所でしたが、豊かな自然環境もありました。特に、八丈島や八丈小島と比較して安定した食料供給があった点が、島中の人々にとって大きな魅力でした。

噴火の経過

1774年時点では328名の島民が、農業や養蚕などで生計を立てていたとされています。しかし、1780年の安永9年、最初の噴火が発生しました。6月から群発地震が始まり、6月27日には池之沢から大量の湯が噴出。これにより農地が浸水し、さらに塩水によって耕作地が大きな被害を受けました。

1781年、続いて天明元年にも噴火が続き、島全体が火山灰によって覆われる事態に至ります。耕地は失われ、島民はますます生活が困難になっていきました。1783年の天明3年の噴火はさらに規模が大きく、島民の生活を一変させ、多くの命が失われました。加えて、1785年には大噴火が発生し、青ヶ島は無人島と化したのです。

島民の避難と苦難

この大噴火の影響で、島民は八丈島に避難せざるを得なくなります。島民たちは、噴火による食糧不足や水不足の深刻な状況に直面しました。避難の際は多くの者が船に乗ることができず、130～140名が取り残され、命を落としたと言われています。こうした避難の悲劇は、後に青ヶ島の人々に強い帰郷の思いを残しました。

あくなき帰島への挑戦

青ヶ島の島民の中で、帰島を果たすための動きが続きました。1786年には、高村三右衛門が自身の蓄えた資金を用いて島民の救済活動に取り組みますが、復興はすぐには進みませんでした。再び青ヶ島に戻る動きが本格化するのは、1817年のことで、佐々木次郎太夫が名主となり復興計画に着手しました。彼は経験者と新たに選ばれた者を加え、綿密な計画を立てて、青ヶ島に住むための準備を整えました。

還住の達成

文政7年（1824年）には、ほぼ全ての島民が帰島しました。長年の努力の末に彼らは再び故郷での生活を送り始めることができました。青ヶ島は天保6年（1835年）、無事に検地を受け、復興が進んだことが証明されます。次郎太夫もその功績が称えられ、青ヶ島はついに新たに生まれ変わったのです。

まとめ

青ヶ島の歴史を通じて見えるのは、自然災害による苦難と、それに立ち向かう人々の不屈の精神です。還住という言葉は単なる再居住の意味を超え、多くの苦難を共にした島民たちの歴史と愛着を表すものとなりました。青ヶ島の復興劇は、歴史だけでなく、現代の人々にも多くの教訓を与えていると言えるでしょう。

もう一度検索