邢宥

邢宥（けい ゆう）は、明代中期に活躍した官僚です。永楽14年（1416年）に生まれ、成化17年（1481年）に66歳で亡くなりました。字は克寛といい、本貫は瓊州府文昌県です。

官僚としての歩み

邢宥は、邢文広と許氏の子として生まれました。正統13年（1448年）に進士に合格し、刑部で官僚としてのキャリアをスタートさせます。翌年には四川道監察御史に任じられ、不正を監視する役目を担いました。

景泰元年（1450年）には、権勢を誇った宦官の王振一派の罪状を糾明し、その不正を暴きました。翌年には、通州から宣府へ食糧40万石を輸送する任務を成功させました。その冬には福建巡按として赴任し、海禁を犯したとして冤罪を訴える人々を救済しました。邢宥は刑の執行を猶予し、真犯人を逮捕することで冤罪を晴らしたのです。

景泰5年（1454年）には遼東巡按に転じ、天順2年（1458年）には河南巡按を歴任しました。天順4年（1460年）には台州府知府として赴任し、その統治手腕を発揮し、多くの実績を挙げました。しかし、天順7年（1463年）には罪に問われ、晋江県丞に降格されてしまいます。しかし、すぐに赦令が出され復職し、蘇州府知府に任命されました。

蘇州府での活躍

蘇州府知府として、邢宥は汚職の撲滅に力を注ぎました。秋の税を横領していた者を法によって処罰し、不正に蓄えられた1万緡の資産を押収しました。その資金は、沙河の堤防建設や官道のレンガ舗装に活用されました。洪水によって民衆が飢餓に苦しむ際には、上奏の返答を待たずに米20万斛を支給し、民衆を救済しました。成化3年（1467年）には、蘇州府の事務を監理したまま、浙江左参政を兼任し、8月には左僉都御史として蘇松巡撫を任されました。

成化4年（1468年）には、丹陽河を開き、奔牛に水門を築くことで、運河の輸送コストを削減し、民衆の便益を図りました。また、両浙の塩政を兼任し、職務不適格な170人以上の官吏を降格させるなど、官吏の綱紀粛正にも力を尽くしました。

晩年

成化6年（1470年）8月、病のため官職を辞任し、故郷に戻りました。成化17年5月20日（1481年6月17日）に66歳で亡くなり、生涯を閉じました。

人物と業績

邢宥は、清廉で公正な官僚として知られていました。各地で巡按や知府を歴任し、不正を正し、民衆の生活を改善するために尽力しました。特に蘇州府では、水害対策や食糧支援など、民衆の生活を安定させるために大きな功績を残しました。彼の著書である『湄邱集』は、彼の思想や業績を知る上で重要な資料となっています。

邢宥の生涯は、明代の官僚のあるべき姿を示すものとして、後世に語り継がれています。

参考文献

『明史』巻159 列伝第47
明故中順大夫都察院左僉都御史邢公墓誌銘（邱濬『重編瓊臺藁』巻23所収）

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