那由多の軌跡

『那由多の軌跡』：星の輝きを辿る冒険譚

『那由多の軌跡』は、日本ファルコムが2012年 7月26日にPlayStation Portable向けに発売したアクションRPGです。同社の人気シリーズ「軌跡シリーズ」の一作でありながら、従来の作品とは一線を画すゲームシステムと世界観が特徴です。

概要

本作は、「軌跡シリーズ」初の試みとして、アクションRPGというジャンルに挑戦しています。開発は『ツヴァイ!!』シリーズのスタッフが中心となり、同シリーズとのシステム的な共通点も多く見られます。ジャンル変更の背景には、従来の「軌跡シリーズ」に対する「戦闘が長すぎる」というユーザーの声があり、よりスピーディーで爽快感のあるアクションRPGを提供したいという開発陣の意向がありました。

また、過去の「軌跡」作品との世界観を一新した点も大きな特徴です。これは、『空の軌跡』・『零の軌跡』・『碧の軌跡』と続く同一世界観による制約を避け、新たなチャレンジをしたいという意図によるものです。そのため、従来の「軌跡」作品との共通要素は一部キャラクターの登場程度に留まり、タイトルからも「英雄伝説」の冠が外されています。

2021年6月24日には、PlayStation 4|PlayStation_4用ソフトとしてグラフィックと音響を向上させた『那由多の軌跡：改』が発売されました。さらに、2022年 5月26日にはNintendo Switch版『那由多の軌跡アド・アストラ』が発売され、日本ファルコムのNintendo Switch参入第一弾タイトルとなりました。

世界設定

本作では、従来の軌跡シリーズに登場するゼムリア大陸は登場しません。「過去に大きな災厄が起きた」という点は共通していますが、本作ではそれが「大洪水」であり、発生年代も異なります。

残され島

シエンシア海に浮かぶ小さな島で、主人公ナユタの故郷です。大陸の港町サンセリーゼからは船で半日ほどの距離に位置しています。年間を通して温暖な気候で、住民も温和な性格です。《星の欠片》と呼ばれる不思議な鉱石や遺跡が空から降ってくることでも知られ、「大洪水」から取り残されたかのように存在していることからこの名が付きました。

テラ

ナユタたちが住む世界では「ロストヘブン（失われし楽園）」と呼ばれている異世界です。星の庭園のある島を中心に、それを取り巻くように4つの大陸が位置しています。各大陸には四季が設定されており、季節によってステージの構造や魔獣の強さが変化します。

星の庭園

残され島と「転位門」と呼ばれる装置で繋がっている場所です。最奥には巨大な塔「ヘリオグラード」があり、その内部には4大陸の管理を行う巨大な機械「アストロラーベ」が存在します。

四大陸

オルタピア：星の庭園の南西に位置する「密林の大陸」。初期季節は春。
リズヴェルド：星の庭園の北西に位置する「深淵の大陸」。初期季節は夏。
ハインメル：星の庭園の北東に位置する「霊峰の大陸」。初期季節は冬。
ラ・ウォルグ：星の庭園の南東に位置する「原初の大陸」。初期季節は秋。

用語

世界の果て

ナユタたちの世界では「世界には果てがある」と信じられています。果てに近い海域では激しい嵐が吹き荒れ、船を進めることはできません。そのため、多くの人々は「世界は平面である」と信じています。主人公ナユタは「世界は球体ではないか」と考えており、周囲からは変人扱いされています。

星の欠片

残され島に降る謎の鉱石です。《星片観測機》で光線を当てることで幻想的な光景が映し出されます。この作業を行う《星片観測士》という専門職も存在します。

ミトスの民

テラを創ったとされる長命な一族です。《星の力》を使って特殊な力を使うことができます。

ストーリー

多島海シエンシア海に浮かぶ「残され島」で育ったナユタ・ハーシェルは、ある日、空から落下してきた遺跡の塔で妖精のような少女ノイと出会います。謎の男ゼクストに追われるノイを助けるため、ナユタはロストヘブンの秘密を巡る冒険に巻き込まれていきます。

登場人物

主要キャラクター

ナユタ・ハーシェル：本作の主人公。15歳。天体観測が趣味で、世界の謎を解き明かすために旅立ちます。
ノイ：妖精のような姿をした少女。ナユタのパートナーとして冒険を助けます。四季魔法を使うことができます。
シグナ・アルハゼン：ナユタの幼馴染。18歳。港町サンセリーゼの自警団に所属しています。天才的な剣技の持ち主です。
ライラ・バートン：ナユタの幼馴染で、宿酒場「月見亭」の娘。ナユタに恋心を抱いています。

評価

『週刊ファミ通』のクロスレビューではゴールド殿堂入りを果たし、売上本数も好調でした。アクションRPGとしての爽快感や、魅力的なキャラクター、そして壮大な世界観が多くのファンを魅了しています。

『那由多の軌跡』は、軌跡シリーズの新たな可能性を示した作品として、今もなお多くのファンに愛され続けています。

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