那覇サイト

那覇サイト（なはサイト）

那覇サイトは、かつて沖縄県那覇市に存在したアメリカ軍のミサイル基地です。現在は航空自衛隊那覇基地の一部となっています。

概要

那覇サイトは、小禄半島に位置し、隣接する那覇海軍航空施設とともに広大な米軍基地を形成していました。この基地には、核弾頭を搭載可能なナイキ・ハーキュリーズミサイルが配備されており、冷戦時代における沖縄の戦略的な重要性を示すものでした。1973年に航空自衛隊に移管され、現在では航空自衛隊那覇基地の一部として利用されています。

1959年、米軍は核・非核両用の迎撃ミサイルであるナイキ・ハーキュリーズを沖縄に配備しました。米国立公文書館の資料によると、沖縄では計8ヶ所にナイキミサイル基地が展開され、那覇サイトは「サイト8」と呼ばれていました。那覇サイトは、沖縄における核兵器配備の実態を物語る上で重要な場所です。

1972年5月15日時点での那覇サイトの所在地は、那覇市字安次嶺、字当間、字大嶺であり、面積は約97,100㎡でした。

歴史

沖縄戦とその後

1933年、日本軍は旧小禄村の土地を強制的に接収し、海軍小禄飛行場を建設しました。1945年6月4日、米軍が小禄海岸に上陸し、沖縄戦が開始されました。米軍は占領後、すぐに飛行場建設に着手し、那覇海軍航空施設を設営しました。小禄半島は、そのほぼ全域が米軍基地として長期間接収されることとなりました。

那覇サイト

1957年、アメリカ公文書館の資料によると、沖縄工兵隊が那覇や恩納などでナイキミサイル配備のための調査を行いました。敷設後、那覇サイトは米陸軍第30防空砲兵旅団によって「那覇陸軍補助施設」として使用され、「サイト8」と呼ばれました。

1959年6月19日、那覇サイトから核弾頭を搭載したナイキミサイルが誤って発射される事故が発生しました。この事故により、ミサイル発射の際に一人の操作員が死亡し、五人が負傷しました。

航空自衛隊那覇基地への移管

1972年5月15日、沖縄返還に伴い、那覇陸軍補助施設は「那覇サイト」と名称変更されました。1973年1月31日には、敷地の一部が航空自衛隊に移管され、4月3日には残りの全域が移管されました。同年10月16日には、南西航空混成団第5高射群第17高射隊が発足しました。

現在の航空自衛隊那覇基地は、那覇市（字安次嶺、字当間、字大嶺）に位置し、面積は105,000㎡です。基地は管理地区と運用地区に分かれており、運用地区にはパトリオット[[ミサイル]]の発射施設があります。基地の周辺には、陸上自衛隊那覇駐屯地や那覇訓練場があり、基地機能の拡大や那覇空港の利用増加に伴い、敷地が手狭になっている状況です。

ナイキ・ミサイル

1959年、沖縄には核・非核両用の高高度迎撃ミサイルであるナイキ・ハーキュリーズが配備されました。米国立公文書館の資料によると、ナイキ・プロジェクトは沖縄各地で展開され、読谷村の残波岬にあるボロー飛行場や恩納サイトなど計8箇所で運用されていました。

那覇サイトの核事故

1959年6月19日、那覇サイトから誤って発射されたナイキミサイルには、広島型原爆と同規模の威力を持つ20キロトンの核弾頭が搭載されていました。ミサイルは那覇沖に落下し、回収されました。事故の際に操作員一人が死亡し、五人が負傷しました。この事故は沖縄のメディアにも報道されましたが、核弾頭が搭載されていた事実は伏せられていました。

2015年、アメリカ国防総省は、沖縄に核兵器を配備していた事実を公式に認めました。それ以前から公文書として存在し、沖縄では「公然の秘密」とされていたものの、長らく公式に認められることはありませんでした。

2017年、NHKスペシャル「スクープドキュメント 沖縄と核」が放送され、松岡哲平氏らの取材によって、長らく隠されていた事件の真相が明らかになりました。取材班は、公文書の検証や退役軍人への聞き取り調査を通じて、事故の詳細を解明しました。

参考項目

* 沖縄の米軍基地

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