那覇海軍航空施設

那覇海軍航空施設の歴史と変遷

那覇海軍航空施設は、沖縄戦でアメリカ海軍が旧日本軍の小禄飛行場を占領した後に建設した航空施設です。現在の那覇空港の場所にあたり、その歴史は、軍事施設としての役割から民間空港への転換という、沖縄の戦後史を象徴するものです。

日本軍による小禄飛行場建設

1933年、旧日本軍は小禄半島に小禄海軍飛行場を建設しました。この飛行場は、鏡水地区から大嶺地区にかけてL字型の滑走路を持つものでした。1936年には、通信省と航空局が台湾と本土間の定期航空路の沖縄基地として接収し、軍民共用空港として拡張されました。しかし、1942年に太平洋戦争が勃発すると、管轄は海軍省に戻り、「海軍小禄飛行場」と改称されました。

米軍による接収と那覇海軍航空施設の誕生

1945年6月4日、米軍は小禄に上陸し、小禄の戦いが始まりました。その後、米軍は小禄飛行場を接収し、那覇海軍航空施設を建設しました。1947年にはパンアメリカン航空（パンナム）が就航を開始し、民間航空の利用も始まりました。1953年には、米軍は基地を東側に拡張するため、具志地区に武装兵を派遣して49,500㎡を強制接収し、那覇空軍・海軍補助施設を新たに建設しました。また、1950年代後半には、ナイキミサイル基地として那覇サイトが構築されました。1972年5月15日には、「那覇海軍航空施設」として米軍に提供され、主たる目的は飛行場としての利用でした。

那覇空港への転換

1975年6月27日、那覇海軍航空施設は全面的に日本に返還され、那覇空港として新たなスタートを切りました。

小禄村大嶺の歴史

旧小禄村大嶺は、現在の那覇空港滑走路や西側の海岸一帯に位置していました。大嶺（ウフンミ）は、独自のハーリーの伝統や言葉をもち、半農半漁で豊かな集落として栄えていました。しかし、沖縄戦前に小禄飛行場建設のために土地を強制収用され、戦後も米軍施設、那覇空港、自衛隊施設として利用されることになりました。このため、大嶺の人々は戦後、東側の田原や宇栄原に新しい集落を建設しました。

新部落建設の背景

1948年当時、旧小禄村の総面積の83%が米軍用地として接収されていました。特に字大嶺、鏡水、安次嶺、金城、当間、赤嶺は部落全体が接収されたため、住民は住む場所を失い、高良や宇栄原に密集して暮らすことを余儀なくされました。当時、小禄村の人口は約1万5千人で、3世帯同居も珍しくありませんでした。また、戦災のため元の土地に戻れない借地人と地元住民の間でトラブルが発生し、村議会は村民全体の融和と生活安定のため、打開策を検討しました。

新部落建設の実現

1953年、関係する5つの字によって新部落建設期成会が結成されました。小禄長田原、不知嶺原の土地3万5千坪の買収が行われましたが、そこは畑地や原野が広がる起伏の激しい土地でした。しかし、村当局と期成会が一体となり、当時の米民政府、米軍、琉球政府農林局に陳情を重ね、機械力の投入により、1958年に宅地造成、区画整理が完了しました。宅地は抽選で字別に分け与えられ、立派な住宅地が完成しました。この事業には多くの関係者の努力と協力がありました。

大嶺村跡の発掘調査

沖縄県立埋蔵文化財センターは、2015年から2016年にかけて那覇空港新築工事に伴う「大嶺村跡」の発掘調査を行い、その結果をまとめています。

このように、那覇海軍航空施設は、軍事施設としての役割から民間空港への転換という歴史をたどり、その過程で多くの人々の生活に影響を与えてきました。現在では、沖縄の空の玄関口として重要な役割を果たしています。

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