那須藩

那須藩の歴史とその展開

那須藩（なすはん）は、江戸時代前期に存在した藩で、現在の栃木県大田原市福原地区に位置していました。この藩には名門の那須氏が関与しており、特に那須資景が1万4000石の所領を得て大名に列したことで知られています。しかし、その歴史は波乱に富んでおり、一時期は廃藩となることもありました。この文章では那須藩の歴史、成立、転機、さらにその廃藩までの経緯を詳しく説明します。

前史

那須氏は弓の名手、那須与一で名高い一族です。戦国時代が終わる頃の1590年、当主であった那須資晴は、豊臣秀吉の小田原征伐に参加しなかったため、改易の憂き目に遭いました。しかし、重臣の大田原晴清が、主家の名を惜しんで陳謝した結果、資晴の子・資景に5000石が与えられました。加えて、資晴もその後、秀吉から許され5000石を返還され、家計を再興することができました。

当時、要害城にあった福原館を拠点に、資景はその後の基盤を築くために尽力しました。また、慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いでは、家康に人質を差し出し、東軍に加わることで戦局に貢献しました。これにより、資景は7000石を領し、その後、慶長7年にはさらに3000石を加増されることとなりました。

立藩とその後

資晴が1610年に死去した後、資景は遺領を引き継ぎ、1万4000石を掌握しました。これにより那須藩が正式に立藩され、資景は大坂の陣や日光祭礼奉行として活躍します。彼は寛永元年（1624年）に家督を子・資重に譲って隠居。しかし、その資重が寛永19年に早逝し、しかも嗣子が残さなかったため、那須藩は一時的に幕府に没収される結果となりました。これに対し、幕府は資景に対して5000石を与えて旗本としてその名を残しました。

久松松平家の時代

慶安元年（1648年）、無嗣断絶となった信濃国小諸藩の松平憲良に代わり、弟の康尚が名跡を引き継ぎ、那須藩は再び立藩されました。しかし、翌年には康尚が伊勢国長島藩に移封され、再び廃藩となってしまいます。

那須家の再興からの転出

那須家の旗本としての存続中、家中では資景の後継を巡る争いがありました。その結果、資景の仇討ちを擁する50人組が資祗（増山正利の弟）を後継者とし、寛文4年（1664年）に再び大名として那須藩を立藩しました。特に、徳川家綱の母である宝樹院との縁故があったことから、1681年には8000石の加増も受け烏山藩に転出することが許可され、那須藩は再度廃藩となりました。

歴代藩主

那須家

• - 外様 1万4000石
• - 資景
• - 資重 / 廃藩（寛永19年 - 慶安元年）

松平（久松）家

• - 譜代 1万石
• - 康尚 / 廃藩（慶安2年 - 寛文4年）

那須家

• - 外様 1万2000石
• - 資祗

休藩を経て、幕末の期までその名が残る那須藩は、日本の歴史の中で独自の位置を占めていました。名族の継承と転出、さらには藩の盛衰は、当時の政治や社会に深く関わっていたといえるでしょう。

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