邦正美

邦正美：舞踊と哲学の融合

邦正美（くに まさみ、1908年1月2日 - 2007年4月4日）は、日本の舞踊家であり、哲学者でもあります。蔚山（ウルサン）で生まれ、東京帝国大学で哲学博士号を取得しました。その生涯は、舞踊と学問、そして国際的な視野が融合した、他に類を見ないものでした。

若き日の舞踊への目覚め

裕福な家庭に生まれた邦は、13歳で英国人女性エルザ・ウィザースから舞踊の手ほどきを受けたことをきっかけに舞踊に興味を持ちます。開化派であった父親の勧めで日本に留学し、旧制松江高等学校を経て東京帝国大学文学部で美学を専攻しました。大学在学中には、舞踊家・石井漠に師事し、1932年には自作「憂鬱の協奏曲」を発表、帝大生が踊るという斬新さで周囲を驚かせました。

表現主義舞踊との出会い

1933年には、音楽を伴わない無音楽舞踊の公演会を開催。大学に通いながらプロの舞踊家としても活動を始めました。大学卒業後は、アイヌ舞踊など様々な舞踊を学び、1937年には日本政府の奨学金を得て、ドイツのフリードリヒ・ヴィルヘルム大学（現フンボルト大学ベルリン）に留学。ナチスドイツの宣伝省が設立した国立舞踊学校でルドルフ・ラバンやマリー・ヴィグマンといったドイツ表現主義舞踊の指導者たちに師事しました。ヨーロッパ各地で公演を行い、日本舞踊の指導者として活動する傍ら、朝日新聞の特派員も務めました。戦時中は、ドイツ兵のための慰問団にも参加したとされています。

戦後の活動と教育

帰国後は、舞踊やヨーロッパ事情に関する著述活動を行う傍ら、邦正美舞踊研究所を設立し、国内外で幅広いジャンルのダンス創作やダンス教育を展開しました。1960年代にはアメリカに移住し、カリフォルニア州立大学フラトン校で名誉教授に就任。その後、ロサンゼルスで邦ダンス・ファウンデーションを主宰し、舞踊を通じた国際交流にも尽力しました。晩年は日本に戻り、2007年に99歳で老衰のため逝去。2013年には、妻の江原冨代によって邦正美記念室が開設され、その功績が後世に伝えられています。

多彩な才能と国際的な視野

邦正美は、舞踊家としてだけでなく、哲学者、教育者、ジャーナリストとしても活躍しました。その国際的な視野と多彩な才能は、多くの人々に影響を与え、日本の舞踊界の発展に大きく貢献しました。また、ナチスドイツとの関わりなど、歴史の複雑さも内包しており、多角的な視点での評価が必要な人物と言えるでしょう。なお、ドイツ人女性との間に生まれた息子の子に、アメリカのコメディアン、フレッド・アーミセンがいることは特筆すべき点です。

主な著書

（参考文献を参照してください）

論文

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参考文献

（参考文献リストは省略）

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