邪眼は月輪に飛ぶ

邪眼は月輪に飛ぶ

『邪眼は月輪に飛ぶ』（じゃがんはがちりんにとぶ）は、日本の著名な漫画家、藤田和日郎によって描かれた作品で、床井雅美の協力も得ている。この漫画は『週刊ビッグコミックスピリッツ』（小学館）で2007年の第2号から第9号まで連載された。藤田にとっては、人気作『からくりサーカス』終了後の初連載であり、また彼の初の『スピリッツ』掲載作品でもある。

作品の概要

藤田は連載当初、作品のページ数を「5回くらい」と見積もっていたが、その後次第に物語が展開し、第4回目の時点で「あと2回、奇声をあげて描いている」と語った。結果的には、作品は全7回で完結した。作品中では、銃器や兵器を専門とする床井雅美が協力しているため、リアルで緻密な描写がされている。

物語のあらすじ

物語は、かつて座礁した米空母が東京に持ち込んだフクロウの名「ミネルヴァ」にまつわる恐怖から始まる。そのミネルヴァの眼に捉えられた者は、たとえ映像を通じてであっても命を落とすという特異な能力を持っていた。こうして日本の大都市は「死の街」と化し、米軍の特殊部隊が「ミネルヴァ」の殲滅命令を受けて派遣される。

その部隊には、老マタギの杣口鵜平と、彼の娘である巫女の輪が参加している。鵜平は、かつて「ミネルヴァ」を打ち落とした唯一の男であり、その経験を持つ。物語は、鵜平の過去や彼の娘との関係、そして「ミネルヴァ」との壮絶な戦いを描きながら進んでいく。

登場人物

杣口 鵜平

70歳を超えるマタギで、地元では「仙人」として知られる腕利きの猟師だ。彼は普段から仮面をつけて閉じこもり、山で孤独に暮らしている。その生涯の中で、ミネルヴァを狙撃するために視力を失う。銃の腕は一流だが、拳銃を使うことは好まない。彼は、ミネルヴァを再び追い詰めるために尽力する。

輪

鵜平の娘であり、智恵子の養女。彼女もまた祈祷師として活動しており、鵜平との複雑な関係を持っている。”観る”という能力で他者の心や記憶を読み取る力を持っており、鵜平を東京によぶきっかけとなる。

智恵子

鵜平の元妻であり、輪の母。ミネルヴァの呪毒から鵜平を守るために犠牲になった。彼女の存在は物語の中で重要な役割を果たす。

マイケル・リード

アメリカ陸軍の准尉で、ストーリーテラーとして物語を語る役割を担っている。日本語も堪能で、鵜平への接触を試みる。

ケビン

アメリカのCIAエージェントで、狙撃作戦を主導する役割を持っている。過去のトラウマが影響しながらも任務に奔走する。

ミネルヴァの恐怖

ミネルヴァは、外見が通常のフクロウとは異なり、その眼に見られた者は命を落とすとされている。その生態はいかなる生物とも異なり、昼間でも活動的で、驚異的な速度で飛翔する。ミネルヴァの存在は、街全体に恐怖を広げ、人々はその視線を避けるためにガードを固めて閉じこもる。物語が進むにつれ、彼女の恐ろしい能力とその陰で展開される人間関係に焦点が当てられていく。　

作品の閉じ方

物語は斬新な視点で進行し、終幕に向けてキャラクターたちの成長と運命が交錯していく。『邪眼は月輪に飛ぶ』は、フクロウという特異な存在を通じて掘り下げられる人間ドラマであり、恐怖、希望、そして許しの物語である。

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