郭洋春

郭洋春（カク・ヤンチュン）

プロフィール

郭洋春（カク・ヤンチュン、朝鮮語: 곽양춘）は、1959年7月21日生まれの日本の経済学者です。立教大学の教授を務め、第21代立教大学総長にも就任しました。在日韓国人二世であり、日本の経済学界で重要な役割を果たしました。

略歴

東京都で生まれ、1983年に法政大学経済学部を卒業後、1988年に立教大学大学院経済学研究科博士課程を単位取得退学しました。その後、立教大学経済学部助手、専任講師、助教授を経て、2001年に教授に就任しました。2009年から2011年まで経済学部長兼研究科委員長、2011年から2013年まで教務部長、2013年から2015年まで再び経済学部長兼研究科委員長を務めました。

2018年4月には立教大学総長に就任しましたが、2021年3月31日に任期途中で退任しました。これは、教員によるハラスメントに関する報告への不適切な対応が問題視されたためです。立教大学において、外国籍の総長は初代のチャールズ・ライフスナイダーに次いで2人目、戦後初という経歴を持ちます。

家族

郭洋春は、元在日韓国民主統一連合議長の郭東儀（カク・トンイ）氏の長男です。

研究活動

専門分野は経済学であり、特にアジア経済や開発経済に関する研究を数多く発表しています。著書には、アジア経済の現状や問題点を分析したもの、開発経済学の理論を平和構築に応用しようとするもの、グローバリゼーションやTPPなどの国際的な経済問題に関するものなどがあります。これらの著作は、経済学の研究者だけでなく、政策担当者や一般読者にも広く読まれています。

主要な著書

『アジア経済論』（中央経済社、1998年）
『韓国経済の実相 IMF支配と新世界経済秩序』（柘植書房新社、1999年）
『開発経済学 平和のための経済学』（法律文化社、2010年）
『現代アジア経済論』（法律文化社、2011年）
『TPPすぐそこに迫る亡国の罠』（三交社、2013年）
『国家戦略特区の正体　外資に売られる日本』（集英社新書、2016年）

共編著

『6つの戦略から学ぶ中国進出企業のためのビジネスモデル』（唯学書房、2004年）
『脱「開発」へのサブシステンス論』（法律文化社、2004年）
『東亜区域経済合作的現状与課題』（天津人民出版社、2004年）
『環境平和学 サブシステンスの危機にどう立ち向かうか』（法律文化社、2005年）
『なぜニッポン人は美しい風習を捨てるのか』（明拓出版、2006年）
『아시아 자유무역론』（한울 아카데미社、2006年）
『移動するアジア 経済・開発・文化・ジェンダー』（明石書店、2007年）
『グローバリゼーションと東アジア資本主義』（日本経済評論社、2012年）
『開発リスクの政治経済学』（文眞堂、2013年）
『東アジア連帯の道を開く』（花伝社、2017年）
『TPP・FTAと公共政策の変質』（自治体研究社、2017年）

翻訳

ミシェル・チョスドフスキー『貧困の世界化 IMFと世界銀行による構造調整の衝撃』（柘植書房新社、1999年）

大学運営における役割

郭洋春は、研究活動だけでなく、立教大学の教育・運営にも深く関わってきました。経済学部長や教務部長などの要職を歴任し、大学の発展に貢献しました。特に、総長としての在任期間は、大学の国際化や教育改革を推進する上で重要な時期でした。

退任とその後

総長としての任期を途中で退任することになったことは、大学内外に大きな影響を与えました。ハラスメント問題への対応が適切でなかったことは、大学のガバナンスや倫理観に対する批判を招くことになりました。この出来事は、大学におけるリーダーシップのあり方や組織運営の課題を浮き彫りにしました。

外部リンク

KAKEN 科学研究費助成事業データベース
論文一覧（KAKEN、CiNii）
* 日本の研究.com:267878

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