郵便記号

郵便記号「〒」の歴史と変遷

「〒」マークは、日本の郵便事業を象徴する記号として広く知られています。この記号は、明治20年（1887年）に逓信省によって考案され、郵便局や郵便関連のサービスで長らく使用されてきました。現在では、日本郵政グループのブランドマークとして、その役割を担っています。

郵便マークの誕生

郵便事業が始まった当初、特定の徽章はなく、「郵便」の文字が使われていました。明治10年頃から、赤い丸に太い横線を重ねた「丸に一引き」が郵便マークとして使われるようになり、明治17年には正式な郵便徽章に定められました。

しかし、明治20年に「〒」が逓信省の徽章に定められると、「丸に一引き」は徐々に使われなくなりました。

「〒」マーク誕生の謎

2月8日は「郵便マークの日」とされています。明治20年2月8日、逓信省は当初「T」字形を徽章とすると発表しましたが、その後「〒」に変更するという経緯がありました。

この変更にはいくつかの説があります。

1. 「T」からの変更説: 「T」を第一案、「〒」を第二案として提出した結果、「〒」が採用されたものの、告示時に「T」と誤ってしまったという説。
2. 国際[[郵便]]との混同説: 「T」が国際[[郵便]]で料金不足の印として使われていたため、類似のマークを避けるために「〒」に変更したという説。この説には、「テイシンショウ」の「テ」を図案化した、または「T」に一本足したという二つの見解があります。
3. 日本郵船との関連説: 日本郵船のファンネル[[マーク]]に似た「T」に縦棒を加え、「〒」にしたという説。

これらの説の中で、2番目の説が有力とされています。「〒」の形状は、初代逓信大臣である榎本武揚が考案したとも言われています。

「〒」マークの普及

「〒」マークは、郵便配達員の帽子や制服、郵便旗、郵便ポストなどに使用されるようになりました。また、郵便局を示す地図記号も、「〒」を丸で囲んだものに定められました。昭和25年には、記号の縦横比が定められ、現在の形になりました。

郵便以外の「〒」マーク

「〒」マークは、郵便事業以外にも使用されていました。

電気用品取締法: かつては、電気製品が試験に合格した証として、「〒」マークが使用されていました。これは、逓信省電気試験所が電気製品の試験を行っていたことに由来します。

電波法及び電気通信事業法: 電話機やファックス、携帯電話などの端末機器の技術基準適合を示すマークにも「〒」が用いられていました。現在は、稲妻のデザインと組み合わせたマークが使われています。

顔郵便マーク「〠」

顔郵便マーク「〠」は、「ナンバーくん」という名前で、かつて切手にも登場したことがあります。しかし、新キャラクター「ポストン」の登場により、公式には使われなくなりました。民営化後は、日本郵政グループでは撤去が推奨されています。

年表

1887年2月8日: 逓信省が「T」字形を徽章と告示、後に「〒」に変更
1950年: 郵政省が旗章に関する告示を制定
1968年7月1日: 郵便番号制度が導入
2001年: 上記の告示が廃止され、郵政事業庁が「〒」を徽章とする告示を制定
2003年2月7日: 日本郵政公社が「〒」をシンボル[[マーク]]として採用
2007年3月19日: 民営化後の日本郵政グループが「〒」をブランドマークとして採用

まとめ

「〒」マークは、単なる郵便記号ではなく、日本の郵便事業の歴史と深く結びついたシンボルです。その誕生の背景には、様々な説があり、郵便事業だけでなく、他の分野でも使用されていたという興味深い事実があります。また、「顔郵便マーク」の存在も、日本の郵便史を語る上で欠かせない要素と言えるでしょう。

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