郷土の偉人シリーズ

ドキュメンタリードラマ 郷土の偉人シリーズ

「ドキュメンタリードラマ 郷土の偉人シリーズ」は、熊本県のテレビ熊本（TKU）が制作し、フジネットワーク（FNN）九州ブロック7局で放送されているドキュメンタリードラマです。1993年（平成5年）にTKU開局25周年事業としてスタートし、2023年（令和5年）には放送30回を迎えました。

企画の背景と制作

このシリーズは、TKUが地域おこし運動を取り上げた深夜討論番組「これでいいのか熊本!」がきっかけで生まれました。番組のパネリストだった米川均氏（熊本映画祭代表）の提言を受け、地域活性化のため、郷土の偉人を紹介する番組制作が企画されました。

制作にあたっては、TKUの制作局長と営業局長が中心となり、荒尾市の地域おこし運動とのタイアップも行われました。脚本は米川氏が執筆し、監督には高橋伴明氏、主演には仲村トオル氏など、映画やテレビドラマで活躍する著名なスタッフや出演者が参加しました。地方の民放局がドラマ仕立ての番組を制作するノウハウがない中、米川氏の人脈が大きく貢献しました。

シリーズの展開と評価

第一作「明治青春伝 ～孫文と宮崎四兄弟・アジアの自由と独立の旗の下に～」は、東京や地元荒尾でロケ撮影が行われ、文化の日に合わせて放送されました。その後も、「肥後のカミナリ 北里柴三郎」や「天成のジャーナリスト 徳富蘇峰」など、熊本県ゆかりの偉人たちを題材にした作品が制作されました。特に、「肥後のカミナリ 北里柴三郎」は、内容の高さからTKU番組審議会が学校教育での二次使用を提案し、文部省選定作品にも選ばれました。

第6作「～未来を見つめた幕末の英傑～ 横井小楠」は、横井が福井藩から熊本藩に招聘された史実や、両藩での功績を紹介する内容で、熊本市と福井市の協賛を得て制作されました。FNN系列の福井テレビジョン放送（FTB）も制作に協力し、FNN九州ブロック7局とFTBに加え、フジテレビや関西テレビでも放送されました。

制作体制と特徴

企画は熊本県内の地方公共団体が行い、制作はTKUが担当しています。プロデューサーや脚本、監督などの主要スタッフはTKUの職員が務めますが、映画やテレビドラマで活躍する人物も起用されています。出演者はローカルタレントだけでなく、在京キー局制作のテレビドラマに出演する俳優も起用され、時には題材となった人物の親族やTKUの重役がカメオ出演することもあります。ナレーションは、一部作品を除き、TKUのアナウンサーが担当しています。

ドラマ部分は、偉人を主人公にした再現ドラマで構成され、熊本県内各地でロケ撮影が行われます。地元住民がエキストラとして出演することもあります。第19作は例外的に、架空のイベント会社の社員を主人公に、彼の家族や知人が偉人の生涯を追うというドラマ仕立ての構成でした。

関連番組

1998年には、TKU創業30周年記念事業として、創業者の河津寅雄を紹介するドキュメンタリー番組「常民思想のサムライ ～河津寅雄物語～」が制作されました。後に、本シリーズの第20作「郷土と共に歩んだ真の指導者 河津寅雄」でも河津が取り上げられています。

「ドキュメンタリードラマ 郷土の偉人シリーズ」は、熊本県の歴史や文化を伝えるとともに、偉人たちの功績を後世に伝える貴重な番組として、地域に根ざした活動を続けています。

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