郷土出版社

郷土出版社について

郷土出版社（きょうどしゅっぱんしゃ）は、長野県松本市に本社を構えた日本の出版社です。1975年に創業したこの出版社は、40年間の活動の中で多くの書籍を刊行し、地域に密着した出版を行ってきました。

創業からの沿革

創業者である高橋将人氏のもと、郷土出版社は1975年に設立されました。特に地域性を重視し、信州の文化や歴史に関連したさまざまな作品が発行されました。1998年には『職員会議に…』が刊行され、この作品は長野県松本深志高等学校で飼われていた黒犬の物語として注目を浴びました。また、2003年にはこの作品を原作とした映画『さよなら、クロ』も公開され、大きな話題となりました。

しかし、出版業界全体が厳しい状況に直面していた1990年代以降、郷土出版社も例外ではなく、売上高はピーク時の約8億円から減少し、2015年度には約2億円にまで落ち込みました。この間、年間の新刊発行点数も約120冊から約25冊という数字にまで減少していきました。2016年2月29日、ついに閉業することが決まり、長い歴史に幕を下ろしました。

出版物の概要

郷土出版社は、地域の歴史や文化に密着したさまざまな刊行物を発表しました。シリーズとしては、「全国47都道府県展開シリーズ」や「保存版・今昔シリーズ」、「ふるさと大百科シリーズ」などがあり、信州の文化や伝説を伝えるための作品が多数存在しました。特に『長野県文学全集』や『信濃文庫シリーズ』などは、地域の文学や歴史を深く掘り下げた内容が特徴であり、多くの読者に愛されました。また、『熊谷元一写真全集』や『明治初期・長野県町村絵地図大鑑』などの美術書や資料集も、多くの評価を受けました。

郷土出版社は、様々な文学賞や表彰を受けるなど、その出版物のクオリティの高さが認められていました。特に、第48回毎日出版文化賞特別賞や日本写真協会賞文化振興賞、さらにはいくつかの県の文化賞を受賞した作品も多く、この出版社が地域文化の発展に多大なる寄与をしていたことが伺えます。

結論

郷土出版社は、長い歴史とともに、地域に根ざした出版活動を続けてきた貴重な出版社でした。4,000点以上の出版物を世に送り出した実績は、今なお多くの地域住民や文化愛好者に影響を与えています。閉業は地域文化にとって大きな損失となりましたが、彼らの努力と思い出は、書籍を通じて後世に受け継がれていくことでしょう。

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