郷土資料

郷土資料とは

郷土資料とは、特定の地域に関する歴史、文化、地理、産業などを記録した資料のことで、公共図書館において重要な役割を担っています。一般的に、「郷土」という言葉が指す範囲は、自治体区分よりも広く、郡、律令国、都道府県、地方など、文脈によって様々です。そのため、郷土資料の範囲も、資料が対象とする地域の広さによって変化します。

公共図書館は、その地域に関する専門図書館としての側面も持っており、地域に関する資料を丹念に収集し、利用者に提供する義務があります。このような資料収集・提供活動の中心となるのが郷土資料です。

郷土資料と地域資料

従来、郷土資料と地域資料はほぼ同義語として扱われてきましたが、近年では、郷土資料を地域資料の一部であると捉える考え方が一般的です。地域資料とは、郷土資料に加え、地方行政資料を含めたより広い概念であり、地域に関するあらゆる種類の資料を指します。

郷土資料の種類

郷土資料には、以下のようなものが含まれます。

郷土関係者の著作: その地域出身者や、地域にゆかりのある人物が執筆した書籍、論文、記事など。
郷土で発行された図書・新聞・雑誌・行政資料・産業資料: 地域内で発行された出版物や、行政機関が作成した資料、産業に関する資料など。
文化行事のプログラム: 地域で行われる祭りやイベントのプログラム、パンフレットなど。
郷土に関する地誌・歴史・伝記・文学作品: 特定の地域の地理、歴史、人物、文学作品などを扱った書籍や資料。
文書・金石文・写真・フィルム・テープ: 古文書、碑文、写真、映像資料など。
出土した考古学資料: 地域内で発掘された土器、石器、その他の考古学的遺物。
化石や生物標本などの博物館的資料: 地域内で発見された化石や、生息する動植物の標本など。

郷土資料の重要性

郷土資料は、地域の歴史や文化を後世に伝えるための貴重な資料であり、地域研究や教育活動においても重要な役割を果たします。図書館は、これらの資料を適切に収集・保存し、利用者へ提供することで、地域の文化振興に貢献することができます。

また、郷土資料は、地域の独自性を理解する上で不可欠なものであり、地域住民が自己のアイデンティティを形成する上でも重要な役割を果たします。

参考資料

『最新図書館用語大辞典』図書館用語辞典編集委員会 編、柏書房 発行、2004年、99ページ

関連項目

* Category:日本の郷土博物館

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