都々逸坊扇歌

都々逸坊 扇歌（どどいつぼう せんか）

都々逸坊扇歌は、江戸時代に名を馳せた寄席芸人であり、都々逸の名付け親とも言われています。彼は一世を風靡し、様々な人気楽曲を作り上げました。ここでは、彼の生涯や業績、弟子たちに焦点を当てて述べます。

生涯と経歴

初代都々逸坊扇歌は、文化元年（1804年）に水戸藩領の常陸国久慈郡磯部村で生まれました。父は医師の岡玄作で、彼には男2人、女2人の兄妹がいました。幼少の頃に痘瘡を患い、その治療過程で半失明になるという厳しい経験をしました。17歳の時に「神戸節」に「よしこの」を乗せた楽曲を創作し、音楽の道へと進みます。

文政7年（1824年）頃に江戸に出て、落語家の初代船遊亭扇橋に弟子入りします。この時、彼は「都々逸坊扇歌」と改名し、江戸牛込の寄席で活動を始めました。音楽だけでなく、謎かけにも優れた才能を持ち、江戸での人気を博しました。特に「八丁あらし」と呼ばれるほどの人気芸人でした。天保時代には上方にも進出し、多くのファンを魅了しました。

彼の経歴の中で、世情を風刺した歌をたくさん作ったことでも知られていますが、晩年にはその内容が幕府や大名を批判していると解釈され、江戸を追放されたかもしれません。しかし、嘉永5年（1852年）の番付表には彼の名前が見られます。

都々逸坊扇歌は、その後、常陸府中に嫁いだ姉のもとで病にかかり、同年に他界しました。彼の墓所は、茨城県石岡市の国分寺や東京都港区の宝生院など複数存在します。

都々逸の楽曲

扇歌作の都々逸は、「よしこの節」や名古屋で流行角節を元にした楽曲が多く、誰でも歌えるような特徴的な曲調となっています。彼の作品は多く残っていないものの、以下の代表的な楽曲があります。

• - 親がやぶならわたしもやぶよ: 自身の立場を表現した歌。
• - 乗り出した船じゃわいな: 師匠に弟子入りを願い出た際に作った楽曲。
• - 磯部田圃のばらばら松は: 故郷の風景を歌った。

また、扇歌の狂句（川柳）も多く残されており、世の様子を独特の視点で風刺しています。

彼の後継者たち

都々逸坊扇歌の名跡はその後も続き、さまざまな流派に影響を与えました。例として、2代目扇歌は「女雷」として知られ、3代目は足に障害を抱えながら活動しました。4代目は女性で、6代目には後の3代目柳亭燕枝が名乗るなど、名跡の継承が行われました。

記念碑と後世の影響

扇歌の寄席芸人としての偉業を称えて、故郷である常陸太田市には彼の碑が建立されています。さらに、都々逸坊扇歌の伝記は数多くの文献にも取り上げられ、多くの落語家がその影響を受けました。

彼の才能と業績は、現代においても多くの人々に受け継がれており、彼の功績を称える声は今なお響いています。

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