都会の天使たち

「都会の天使たち」（とかいのてんしたち）は、日本のシンガーソングライターである堀内孝雄と、韓国出身の演歌歌手である桂銀淑がデュエットした楽曲。1992年3月11日に、東芝EMIからシングル盤としてリリースされました。

楽曲概要

この楽曲は、テレビ朝日系列で放送された人気刑事ドラマシリーズ『はぐれ刑事純情派』の、当時の主題歌として起用されたことで広く知られることとなりました。ドラマの内容と主題歌の雰囲気がマッチし、番組を彩る楽曲として多くの視聴者に親しまれました。

特に注目すべき点として、この1992年という年は、堀内孝雄、桂銀淑ともに自身のソロ名義でのシングルリリースが他にありませんでした。二人は一年間を通して、まさにこの「都会の天使たち」一本を中心に活動を展開し、様々な場で歌声を披露しました。

商業的成功とロングヒット

発売後、本作は日本の音楽チャートにおいて大きな成功を収めました。オリコンのシングルチャートでは、発売当初から好調な売れ行きを見せ、その後も継続的な支持を獲得。週間ランキングのトップ100圏内に実に44週間もの長期間にわたりランクインするという、驚異的な粘り強さを見せ、ロングヒットを記録しました。この息の長いチャートインは、当時の音楽シーンにおいても特筆すべき出来事であり、楽曲が幅広い層に浸透していたことを示しています。その結果、累計売上枚数は50万枚を突破し、二人のキャリアにおける代表曲の一つとなりました。

テレビ番組での披露とエピソード

楽曲のヒットに伴い、多くの音楽番組にも出演しました。特に、テレビ朝日系列の看板音楽番組である『ミュージックステーション』には、1992年5月1日放送回と同年9月4日放送回という、2度にわたって出演を果たし、その歌唱を披露しました。この『ミュージックステーション』への出演は、当時の音楽業界、特に演歌・歌謡曲系の歌手にとって重要な出来事であり、この「都会の天使たち」出演以降、同番組において演歌・歌謡曲系歌手が出演する機会が原則として減少したとされることもあり、日本の音楽番組の歴史を語る上で、しばしば言及されるエピソードとなっています。

さらに、その年の年末に開催された『第43回NHK紅白歌合戦』にも、堀内孝雄、桂銀淑それぞれが選出されました。通常、デュエット曲を歌唱する場合は、どちらか一方の組に組み入れられるのが通例でしたが、この年の紅白では、堀内孝雄は白組から、桂銀淑は紅組からという、別々の組に選出されながらも、紅白の枠を超えて二人が揃ってステージに立ち、「都会の天使たち」を歌唱するという、極めて異例の演出が実現しました。これは、当時の二人が共に紅白歌合戦の常連歌手であり、その実績と知名度が十分に高かったことが考慮された結果であると言われており、番組史においても特筆すべき瞬間となりました。

収録曲

シングルには、「都会の天使たち」とそのカップリング曲が収録されました。

1. 都会の天使たち
作詞: 荒木とよひさ
作曲: 堀内孝雄
編曲: 川村栄二

2. 絵になる夜の物語
作詞: 岡田冨美子
作曲: 浜圭介
編曲: 川村栄二

カバーバージョン

「都会の天使たち」は、その人気から複数のアーティストによってカバーされています。

1993年には、香港の著名な歌手・俳優であるレオン・ライが広東語でカバーし、「真的愛情定可到未來」というタイトルで自身のアルバム『我的另一半』に収録しました。
同じく1993年には、堀内孝雄自身がソロバージョンとしてセルフカバーを行いました。このソロバージョンは、彼の次のシングル『影法師』のB面曲として収録されており、オリジナルのデュエットバージョンと比較してキーが二回り以上低く設定されています。
2004年には、ドラマ『はぐれ刑事純情派』で主演を務めた俳優・藤田まことが、実の娘であるEMIKO（原田絵美子）とデュエットしてカバーしました。このバージョンは、アルバム『はぐれ刑事純情派主題歌セレクション』に収められています。
2010年には、湯原昌幸・荒木由美子夫妻が、「黄昏の天使たち」というタイトルでカバー。原曲の作詞者と同じ荒木とよひさが歌詞の一部を変更しています。
2023年には、水森かおりと北山たけしがカバーし、再び注目を集めました。

都会の天使たち