都川

都川（みやこがわ）

概要

都川は、千葉県千葉市緑区誉田町に源を発し、同市内を流れて東京湾に注ぐ、全長15.7キロメートルの二級河川です。この川は、都川水系の本川を成しています。上流端は若葉区高根町に位置し、丘陵地の水田地帯を流れ、中流で坂月川、支川都川と合流します。その後、千葉市中心部を貫流し、都橋の下流で葭川と合流して東京湾へと流れ込みます。

都川水系

都川水系は、都川を本川とし、坂月川、支川都川、葭川の3本の支川を含む二級水系です。水系全体の河川総延長は23.761キロメートル、流域面積は71.65平方キロメートルに及びます。都川水系は、上流域の田園・山林地帯から下流域の都市部へと変化に富んだ地形を形成しています。

都川水系と都市社会

治水問題

都川水系の流域は、上流域に田園や山林が広がる一方で、下流域は千葉市の中心市街地として発展しており、都市化が急速に進みました。特に昭和30年代以降の都市化により、1998年頃には流域の53.2%が市街地となり、台風や集中豪雨による浸水被害が頻発するようになりました。本川の都川自体は、一部の低地を除いて浸水被害は少ないものの、最下流で合流する葭川では、上流部の急激な市街化による保水能力の低下が原因で、千葉市中心部での浸水被害が深刻化しています。

都川では、1974年から河川改修が進められていますが、沿川に家屋や店舗が密集しているため、河道拡幅や河床掘削といった従来の対策には限界があります。そのため、上流域に多目的遊水地や防災調節池を設置するなどの流出抑制対策が実施されています。また、河口部では高潮対策としての防潮護岸や、葭川合流地点における排水機場・水門の整備が行われています。

水質問題

都市化に伴う生活雑排水の増加により、都川水系の水質汚濁も深刻な問題となっています。1964年度から河道拡幅や河道掘削等の河川改修が行われてきましたが、水質改善のため、支川都川合流点上流部には多目的遊水地が整備され、水質浄化への取り組みが続けられています。

都川水系の生態系

都川水系では、アユ、スナヤツメ、ホトケドジョウ、ギバチなどの魚類、カワニナ、アンナンデールヨコエビなどの小動物が生息しており、清流の生態系を保っています。また、水辺にはサギ類、セキレイ類、カモの仲間やカワセミなどの鳥類も観察されています。1999年から2000年にかけての調査では、ニホンアカガエルの生息も確認されました。このように、都川水系は多様な動植物が生息する貴重な水辺環境となっています。

ギャラリー

（ここに画像が入る予定）

参考文献

斎藤正一郎『都川物語』（改稿）、1992年。
ちば河川交流会『遺しておきたい伝えたい千葉の水辺』 その1、ちば河川交流会、2009年3月。
ちば河川交流会『遺しておきたい伝えたい千葉の水辺』 その7、ちば河川交流会、2015年3月。
千葉県千葉土木事務所 編『都川』千葉県、1991年。
千葉県千葉土木事務所 編『都川 これからのMIYAKOGAWAを感じてください』千葉県、2001年10月。
千葉県千葉土木事務所 編『都川観察ノート 都川をのぞいてみよう！』千葉県、2001年10月。
千葉の歴史を知る会『都川の歴史を訪ねて 大宮・川戸地区巡検案内』千葉の歴史を知る会、1975年10月19日。
中居賢一『都川をあるく』1991年12月1日。

関連項目

* 千葉県の二級水系一覧

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