都市計画図

都市計画図：都市の未来を映す地図

都市計画図は、地方公共団体が作成する、その行政区域内の都市計画を示した地図です。いわば、都市の設計図と言えるでしょう。地形図をベースに、空中写真などを用いて建物の配置や都市計画道路の位置、用途地域などを詳細に描き込んでいます。縮尺は自治体の規模によって異なり、5万分の1、2万5千分の1、1万分の1など、様々な縮尺の地図が作成されています。一般的に、作成した地方公共団体から有償で配布されています。

多様な情報を網羅した地図

多くの場合、単一の都市計画図ではなく、複数の図面から構成されています。例えば、市街化区域と市街化調整区域の区分を示す図面、用途地域（商業地域、工業地域、住宅地域など）、建ぺい率や容積率などの情報を示す地域地区図、そして都市計画道路などの都市施設を示す都市施設図などが、別々に作成されているケースが一般的です。これら複数の図面を総合的に理解することで、その地域の都市計画全体像を把握することが可能になります。

法的な位置づけ

都市計画図は、都市計画法で定められた「都市計画図書」（総括図・計画図）とは異なります。都市計画図書は、都市計画の内容を法的根拠に基づいて明確に示したもので、都市計画の法的効力に直結します。一方、都市計画図は、より分かりやすく視覚的に都市計画の内容を示した普及版のような位置づけと言えるでしょう。また、都市計画法第6条に規定される基礎調査のための基図（しばしば「都市計画基図」と呼ばれるものの、正式な法律用語ではありません）とも区別されます。

都市計画図に関連する用語

都市計画図には、正式な法律用語ではないものの、よく用いられる特有の用語があります。いくつか例を挙げ、説明します。

線引き: 都市計画区域を市街化区域と市街化調整区域に区分すること、またはその境界線のことです。市街化区域は、都市機能の集積が想定される区域で、市街化調整区域は、原則として市街化を抑制する区域です。
非線引き: 都市計画区域の中で、市街化区域と市街化調整区域の区分がされていない地域のことです。
白地地域: 市街化調整区域や、非線引き区域で用途地域が指定されていない地域を指すことがあります。
田の字地区: これは、奈良市や京都市中心部の一部地域を指す通称です。主要な道路が「田」の字型に交差していることから名付けられました。例えば、京都市では御池通から五条通、堀川通から河原町通に挟まれた地域を指すことが多いです。

まとめ

都市計画図は、都市計画の内容を分かりやすく視覚的に示した重要な地図です。法的な都市計画図書とは異なる点を理解し、複数の図面を総合的に検討することで、その地域の都市計画の全体像をより深く理解することができるでしょう。それぞれの用語の意味を理解することで、都市計画図の読み解きがより容易になります。

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