都成流

都成流：強引な飛車捌きで先手を翻弄する戦法

都成流は、後手番が用いる独特の将棋戦法です。奨励会時代に都成竜馬棋士が指していたことから名付けられ、近年では糸谷哲郎八段による解説などを通じて、その知名度を高めています。「強引向飛車」とも呼ばれるこの戦法は、序盤から積極的に飛車を動かし、先手の陣形を崩すことを目指します。

基本的な手順と狙い

都成流の基本的な手順は、以下の通りです。

1. 先手▲2六歩 に対し、後手は △3四歩 と応じる。
2. 先手が ▲2五歩 と飛車先を突いてきた場合、後手は通常であれば △3三角 とするのが定跡ですが、都成流では敢えて △3二銀 と上がります。
3. 以下、△2四歩▲同歩△同飛と進みます。ここで後手は △3一金 と寄るのが都成流の特徴です。

この3一金が、都成流の要となる仕掛けです。この金によって、後手は飛車の動きを制限しつつ、自陣の防御も固めます。さらに、後手は飛車を2筋に回したり、4四角に飛車先を突いたりすることで、先手の飛車や角の働きを阻害し、攻撃に転じます。

都成流の狙いは、序盤から積極的に攻勢に出て、先手の陣形を乱し、優位に立つことです。特に、先手の飛車の動きを制限し、角の働きを封じることで、先手の攻撃力を弱体化させることができます。

先手の対応策

先手としては、都成流に対して様々な対応策が考えられます。

▲3四飛成：△2四歩～2二金と龍取りを狙えますが、△2四歩と蓋をして龍が仕留められても、▲2五歩とすると、△同歩であれば▲同龍で逃げられます。△2二金であれば▲2四歩とし、以下△2三金に▲同歩成で、と金が銀に当たり、駒割は飛車と金・銀の２枚替えになります。
▲2四飛：△4四角に▲2四飛には、△3三銀で以下▲2八飛には△2六歩と押さえ込みを狙う。
▲2四歩：△3三銀ならば▲4四飛△同銀▲2三歩成など。
▲2八飛：△4四角とこれまで同様、2筋からの逆襲を狙う場合は歩打ちに備えて▲3八銀と上がる。

これらの対応策以外にも、先手は局面に応じて様々な手を検討する必要があります。都成流は、後手の積極的な仕掛けによって、複雑で変化に富んだ展開となるため、先手は冷静な判断と的確な対応が求められます。

先手番での都成流

都成流は後手番の戦法ですが、先手番でも仕掛けることが可能です。例えば、初手▲7六歩から、後手の対応によっては都成流の構えに持ち込むことができます。後手が居飛車を志向するような場合、先手は都成流に持ち込みやすいと言えます。

まとめ

都成流は、後手番が積極的に攻勢に出る、独特の戦法です。序盤から複雑な局面を作り出し、先手の読みを問う戦法と言えるでしょう。先手は、都成流の仕掛けに対して適切に対応し、冷静な判断で戦いを進めていく必要があります。都成流は、変化に富んだ展開が特徴であり、将棋の奥深さを味わえる戦法と言えるでしょう。 この戦法は、様々な変化があり、研究の余地が大きく残されています。

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