配石

配石（はいせき）、または配石遺構（はいせきいこう）とは、考古学において、河原石などの自然石を地表面に意図的に配置したり、組み合わせたりして構築された遺構のことです。ピラミッドのような石組みの建造物は、通常、配石とは見なされません。

配石遺構の多様な形態と機能

配石遺構には様々な形態があり、その機能も多岐にわたります。集落内の区画を示す標識のような日常生活に関わるものから、埋葬や祭祀、信仰に関わるものまで、その役割は様々です。単独で存在する配石は、組石（くみいし）とも呼ばれます。

石を列状に配置したものは列石（れっせき）と呼ばれ、円形（環状）に配置されたものは環状配石、または環状列石（かんじょうれっせき、ストーンサークル）と呼ばれます。また、巨大な石を垂直に立てた立石（りっせき）を伴うこともあります。河原石や礫を土坑（墓穴）の中や外に配置した埋葬施設は、特に配石墓（はいせきぼ）と呼ばれます。また、日本の縄文時代後期に見られる住居の一種で、床面に平たい石を敷き詰めるように配置したものは、敷石住居（しきいしじゅうきょ）と呼ばれています。

ヨーロッパには、巨石を並べた配石遺跡である巨石記念物が存在し、ストーンヘンジはその代表的な例です。

日本における配石遺構

日本では、縄文時代の近畿地方東部から東日本にかけて配石遺構が見られるようになり、特に前期に顕著になります。中期にはその数は急増します。前期末から中期・後期前半にかけては、配石の下に土壙墓を伴わないものも見られますが、後期以降になると土壙墓を伴う例が増加します。

環状列石を伴う著名な遺跡には、秋田県鹿角市の大湯環状列石、青森県青森市の小牧野遺跡、秋田県北秋田市の伊勢堂岱遺跡などがあります。これらの遺跡はいずれも縄文時代後期のものです。また、石材資源が豊富な中部地方の山麓地域でも、配石遺構が盛んに作られました。

これらの配石遺構は、当時の人々の生活、文化、信仰を知る上で非常に重要な手がかりとなっています。

参考文献

下城, 正、女屋, 和志雄『深沢遺跡/前田原遺跡』 68巻群馬県勢多郡北橘村大字下箱田784-2〈財団法人群馬県埋蔵文化財調査事業団調査報告書〉、1988年3月30日。
斎藤, 忠「配石遺構」『改訂新版日本考古学用語辞典』学生社、2004年9月20日、452頁。
江坂, 輝弥、芹沢, 長介、坂詰, 秀一「環状列石」『新日本考古学小辞典』ニュー・サイエンス社、2005年5月20日、424頁。

関連項目

立石 (考古学)
列石
巨石記念物
* ストーンサークル（環状列石）

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