酒井康

酒井康について

酒井康（さかい こう）は、日本の音楽評論家であり、特にヘヴィメタル分野でその名を知られています。10月26日生まれ、東京都出身。

プロミュージシャンから評論家へ

酒井氏は、元々キーボーディストとしてプロミュージシャンとして活動していました。その後、新興音楽出版社（後のシンコーミュージック・エンタテイメント）の書籍部に入社し、音楽出版の世界へ足を踏み入れます。1970年代後半には、同社の洋楽専門誌『ミュージック・ライフ』編集部に異動し、副編集長を務めました。この頃から、ヘヴィメタルを中心に評論家としての活動を始め、レコードの解説なども執筆していました。

『BURRN!』創刊と編集長時代

1984年、酒井氏は日本初のヘヴィメタル専門誌『BURRN!』を創刊し、初代編集長に就任しました。この雑誌は、日本のヘヴィメタルシーンを牽引する存在となり、多くのファンに支持されました。1991年には、株式会社バーン・コーポレーションを設立し、代表取締役社長に就任。しかし、1993年12月号を最後に『BURRN!』編集長を辞任し、社長業に専念することになります。

その後、1994年には『BURRN!』の別冊として『炎』を創刊し、編集長を務めましたが、1995年にその座を譲り、編集顧問に就任しました。

シンコーミュージック復帰とその後

2013年9月、バーン・コーポレーションの閉鎖に伴い、『BURRN!』はシンコーミュージックが編集・発行することになり、酒井氏は同社の社員として復帰しました。ただし、『BURRN!』とは無関係な立場となりました。

ラジオ番組『Heavy Metal Syndicate』

酒井氏は、お笑いコンビ飛石連休の藤井ペイジ氏とともに、ラジオ番組『Heavy Metal Syndicate』のDJを務めていました。この番組は、2014年6月30日に終了しました。

人物像

酒井氏は、尊敬する雑誌編集者として『暮しの手帖』の編集長であった花森安治氏を挙げています。

『BURRN!』の編集長を辞任した理由について、「アンスラックスやセパルトゥラのような短パンを穿いているバンドが表紙になる雑誌はやりたくない」と語っており、特にアンスラックスに対しては「漫画みたいな奴が野球帽を被って半ズボンを穿いているのは嫌だ」と強い拒否感を示していました。1990年代前半以降のモダン・ヘヴィネスに対しては徹底的に敵対的な姿勢をとっていたことでも知られています。

音楽だけでなく、スポーツやお笑いにも詳しく、特にサッカーはドイツのファンです。お笑いに詳しいのは、かつてお笑い芸人を目指していたためです。また、かなりの巨漢であり、『炎』に『ヘヴィメタルとダイエット』というコラムを寄稿したこともあります。

音楽の好みには強い偏りがあり、ヘヴィメタルに関しても正統派や様式美を重視する傾向があります。『BURRN!』編集部の前田岳彦氏は、酒井氏を「エクストリーム・メタルと女性ヴォーカル・メタルが嫌いで、日本のバンドの9割9分9厘を認めていない人」と評しています。彼が認めた数少ない日本のバンドとして、VOWWOW、X JAPAN（ただし、マホガニー・ラッシュをカバーしたセンスを評価）、紫、ANTHEM、Outrageなどが挙げられます。

聖飢魔IIのデビュー作『聖飢魔II〜悪魔が来たりてヘヴィメタる』に対しては、「技術はあるのに邪道に走ってしまった」として、『BURRN!』史上初の0点という評価を下したエピソードも残っています。

酒井氏が『BURRN!』の創刊メンバーである増田勇一氏を誘ったことも知られています。増田氏は当時、出版社に残るか、バンドマネジメントになるか、酒井氏の誘いに乗るかの選択肢がありましたが、最終的に『BURRN!』の創刊に参加することを選びました。

また、酒井氏は伊藤政則氏と不定期で「HMサウンドハウス」というイベントを開催しています。

著書

売名行為（1991年3月、シンコー・ミュージック）
永久追放（1991年10月、シンコー・ミュージック）
虹色の音詞（1998年12月、シンコー・ミュージック）
虹色の音詞II（1999年5月、シンコー・ミュージック）
クラシックロック語録（2014年3月、シンコー・ミュージック）※監修と序文を担当

関連人物・事項

BURRN!
伊藤政則
広瀬和生
Heavy Metal Syndicate
リッチー・ブラックモア

外部リンク

* HM SYNDICATE (@HMSYNDICATE) - X（旧Twitter）

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