酒井忠温 (伊勢崎藩主)

酒井忠温：伊勢崎藩の藩政改革を成し遂げた名君

酒井忠温（さかい ただはる）は、江戸時代中期から後期にかけての上野伊勢崎藩の第3代藩主です。元文2年（1737年）に前橋藩主・酒井忠恭の四男として生まれ、伊勢崎藩主・酒井忠告の養子となり家督を継ぎました。

藩主就任と天明の大飢饉

宝暦13年（1763年）に家督を継いだ忠温は、直後に天明3年（1783年）の浅間山噴火による大被害に見舞われます。領内は甚大な被害を受け、藩財政は破綻寸前に陥りました。

関当義の登用と財政再建

この危機的な状況を打開するため、忠温は関当義（關助之丞當義）を家老に登用します。関当義は経費節減を徹底するなどの政策を実行し、藩財政の再建に大きく貢献しました。

藩校・学習堂の創設

財政再建と並行して、忠温は文治政策にも力を注ぎました。藩校・学習堂を創設し、藩士の教育水準の向上を図りました。これにより、伊勢崎藩は文武両道に秀でた藩へと発展を遂げました。

隠居と晩年

天明7年（1787年）に忠温は次男の忠哲に家督を譲り隠居しました。寛政13年（1801年）に65歳で死去するまで、藩政の発展を見守りました。

系譜

実父：酒井忠恭（前橋藩主）
実母：石原氏（側室）
養父：酒井忠告（伊勢崎藩主）
正室：酒井忠告の養女、酒井忠儔の娘
側室：鈴木氏
子女：
酒井忠哲（次男）：母は鈴木氏（側室）
高力直忠
酒井忠意
酒井忠輔
村越成庸室
内藤信義正室

平将門との関連

酒井家の江戸上屋敷には平将門の首塚があったとされています。これは、酒井家と平将門との歴史的な繋がりを示すものとして興味深い点です。

関連資料

五十嵐富夫「伊勢崎藩の藩学と学習堂」
渡辺敦「伊勢崎風土記」
濱口富士雄「群馬の漢文碑（續）」
豊國覺堂「伊勢崎の学習堂に就て」
樋口千代松、今村勝一（共編）「上野志料集成 1」
渡辺敦「伊勢崎藩の学習堂」

酒井忠温は、天明の大飢饉という未曾有の危機を乗り越え、藩財政の再建、藩校の創設など、数々の功績を残しました。彼のリーダーシップと先見の明は、伊勢崎藩の発展に大きく貢献し、後世に語り継がれる名君として称えられています。

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