酒保

酒保について

酒保（しゅほ）は、軍隊が駐屯する場所や艦船内に設けられた売店で、主に軍人や軍属を対象に日用品や嗜好品を提供していました。日本においては、自衛隊で米軍の慣例を受け継ぎ、売店が「PX」と呼ばれることもあります。この制度は、洋式陸軍制度の導入時にフランス語の「Cantine」やドイツ語の「Feldschenke」といった言葉から派生しています。

日本の軍隊における酒保の役割

日本の帝国陸軍において、酒保は「質素で品質が良く、廉価な日用品や飲食物を販売」すると定義されていました。運営は部隊の本部が行い、部隊の経理を担当する者が酒保委員として管理していました。従業員は兵士の中から選ばれたり、契約業者が使用されたりしました。飲食物は定期的に品質チェックが行われ、食中毒を防ぐためにサンプルが保存されるなど、安全面にも配慮されていました。

酒保は、陸軍士官学校や他の軍学校にも設置され、生徒が利用することができました。販売される商品は多岐にわたり、日用品から食料品、嗜好品まで多様に用意されていました。さらに、酒保の施設自体も簡易なものから、装飾的なカフェスタイルのものまであり、各部隊の特色が表れていました。また、特に晴れた日には中庭で食事を楽しむことができる酒保庭園も存在しました。

酒保の主な商品

1920年代から1940年代の帝国陸軍において、酒保では以下のような商品が販売されていました：

• - 日用品：手ぬぐい、タオル、裁縫道具
• - 衛生用品：石鹸、歯ブラシ、便所用紙
• - 文具類：鉛筆、ノート、封筒
• - 軽食：うどん、牛丼、だんご
• - 菓子類：干し芋、煎餅、菓子パン
• - 飲料：カルピス、コーヒー、茶
• - 酒類：ビール、日本酒、焼酎

自衛隊における酒保

自衛隊設立後、酒保として営業する施設は、当初アメリカ軍の売店PXを参考にして設けられ、陸上自衛隊と防衛大学校では同様の名称が使用されています。しかし、海上自衛隊においては、艦内で酒の販売は行わず、他の商品が主に取り扱われています。

脚注と文献

さらに、酒保は文学作品に登場することも多く、いくつかの作品において描写されています。文献としては陸軍省の広報資料や歴史書があり、詳細な活動や商品、規則などが確認できます。

このように、酒保は単なる売店以上の意味を持ち、軍人たちの生活とコミュニティにおいて重要な役割を果たしていたことがうかがえます。

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