釈雲照

釈雲照：幕末・明治期の真言宗僧侶、戒律復興への情熱

釈雲照（しゃく うんしょう）は、文政10年3月20日（1827年4月15日）に出雲国（現在の島根県）に生まれ、明治42年（1909年）4月13日に没した、幕末から明治時代にかけて活躍した真言宗の僧侶です。俗姓は渡辺氏。日本人初の上座部仏教徒である釈興然は甥にあたります。

修学と戒律復興への志

雲照は幼少の頃に出家し、天保7年（1836年）に松江千手院で僧侶としての道を歩み始めました。その後、弘化元年（1844年）には高野山に上り、真言密教を深く学びました。江戸時代後期に戒律復興運動を推進した慈雲の影響を強く受け、明治維新後の仏教界において、戒律の重要性を強く訴えるようになります。

十善会の発足と戒律主義の提唱

明治17年（1884年）、雲照は十善会を発足させ、戒律主義を主唱しました。彼は、仏教の根本は戒律にあると考え、その復興こそが仏教の再興につながると信じていました。目白新長谷寺に戒律学校を創建し、僧侶の育成に尽力する傍ら、機関紙「十善宝窟」を創刊し、戒律の重要性を広く世に訴えました。

新仏教運動への影響と戒律主義の衰退

雲照の仏教に対する内省的な態度は、当時の新仏教運動に精神的な基盤を与えることとなりました。しかし、彼の提唱した厳格な戒律主義は、近代化が進む社会においては定着せず、雲照の没後、その活動は徐々に衰退していきました。

死去と墓所

明治42年（1909年）4月13日、雲照はインフルエンザのため目白僧園で生涯を閉じました。彼の遺体は多磨霊園に埋葬され、その功績を偲ぶ人々によって手厚く供養されています。

関連人物・事項

慈雲：江戸時代後期の僧侶で、雲照に大きな影響を与えた戒律復興運動の推進者。
釈興然：雲照の甥で、日本人初の上座部仏教徒。
律：仏教における戒律のこと。
僧：仏教の出家者。
* 三昧耶戒：真言密教における戒律。

雲照の生涯は、戒律復興に捧げられたものでしたが、彼の内省的な態度は、近代仏教に大きな影響を与えました。彼の名は、戒律復興に尽力した僧侶として、記憶されることでしょう。

もう一度検索