里村 (鹿児島県)

里村（さとむら）

里村は、かつて鹿児島県の北西部に位置していた薩摩郡に属し、東シナ海に浮かぶ甑島列島の上甑島の東端に存在した村です。2004年10月12日に周辺の8町村と川内市が合併し、薩摩川内市の一部となりました。この合併により、里村という名は行政区画としては消滅しましたが、その歴史と文化は今も地域の人々の生活に深く根付いています。

地理

里村は、鹿児島市の北西約80kmに位置する上甑島の最東端にありました。村の中心部は、陸繋島（りくけいとう）と呼ばれる砂洲の上に集落が形成されており、村の全人口の大部分がこの砂洲に集中していました。一部は上甑島の本島にも集落が広がっていました。

本土との交通手段は、いちき串木野市の串木野新港から発着する高速船（所要時間約50分）とカーフェリー（同1時間20分）のみで、陸路や空路でのアクセスはありません。このため、駅や空港などの交通施設は村内に設置されていませんでした。

村の大字は「里」のみで、現在の薩摩川内市里町里の全域が、かつての里村の領域にあたります。

沿革

里村の歴史は、1891年（明治24年）に上甑村から分立したことに始まります。1991年（平成3年）には村政施行100周年を迎えました。そして、2004年（平成16年）に川内市をはじめとする周辺の8町村と合併し、薩摩川内市となりました。この合併により、里村は100年以上の歴史に幕を閉じ、新たな自治体の一部として再スタートを切りました。

行政

里村の行政は、里村役場（現在の薩摩川内市役所里町支所）が担っていました。警察は川内警察署里派出所（現在の薩摩川内警察署里町派出所）が管轄していました。

教育機関としては、里村立里小学校（現・薩摩川内市立里小学校）、里村立里小学校付属幼稚園（現・薩摩川内市立里小学校付属幼稚園）、里村立里中学校（現：薩摩川内市立里中学校）がありました。しかし、村内には高等学校が存在しなかったため、中学校卒業後の進学には、親元を離れての寮生活や下宿生活が必要でした。これは、島外への通学手段が船に限られていたためです。

郵便局は里郵便局が、銀行は南日本銀行のATMとゆうちょ銀行ATMがそれぞれ1箇所ずつ設置されていました。里村には郵便番号896-11○○が割り当てられていましたが、ほとんどの住民は大字「里」に居住していたため、他の番号が実際に使用されていたかは不明です。

地区

村内は、薗上、薗中、薗下、村東、村西の5つの地区に分けられており、各地区には複数の小字が存在します。地区ごとに公民館が設置され、地元消防団も地区ごとに組織されていました。これらの地区は、地域住民のコミュニティ活動の拠点となっていました。

生活・観光

里村には、個人商店の小売店のほか、スーパーマーケットがありましたが、コンビニエンスストアなどの24時間営業の店舗はありませんでした。娯楽施設は、パチンコ店が唯一存在していました。

里港入口付近には、村内唯一の信号機と歩行者信号が設置されており、これは島外に出た際に子供たちが信号に戸惑わないように設置されたものでした。

里村は、観光地や磯釣りの穴場として知られており、釣り番組や観光番組で紹介されることも多く、年間を通して多くの釣り客が訪れます。宿泊施設としては、民宿のほか、集落北端に和風旅館、里港付近に洋風ホテルがあります。このホテルには島内唯一の温泉施設がありますが、源泉温度が低いため、加温して利用されています。

里集落から山を越えた北西側の海岸には、海水浴場とキャンプ場があります。また、鹿の子百合の自生地としても知られており、夏には村内で自生の鹿の子百合が咲き誇ります。特産品としては、鹿の子百合、さつまあげ（地元では「つけあげ」）、黍女子（キビナゴ）、六代目百合焼酎などが有名です。

交通

里村内には、以下の一般県道が通っていました。

鹿児島県道348号桑之浦里港線
鹿児島県道352号瀬上里線

これらの道路が、村内の移動を支えていました。

脚注

* 関連項目：鹿児島県の廃止市町村一覧

里村は、薩摩川内市の一部となった今でも、その美しい自然と独自の文化を守り続けています。かつての村の姿は、人々の記憶の中に生き続けています。

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