重度障害者用意思伝達装置

重度障害者用意思伝達装置の概要

重度障害者用意思伝達装置は、身体の障害により発声や書字などが困難な方々のコミュニケーションを支援するために設計されています。この装置は一般的にはパーソナルコンピュータの形をしており、必要となるスイッチやリモコン、プリンタなどが接続されています。その目的は、少しの身体的動作を用いて他者に思考を伝えることです。この装置は時折「意思伝達装置」と呼ばれることもあります。

歴史的背景

2006年以前は、この装置は「日常生活用具」に分類され、公的な給付に制約がありました。しかし、同年の法改正（厚生労働省告示528号）により、「補装具」という新たな分類に変更され、対象が広がりました。この改正により、装置本体だけでなく、操作に必要なスイッチも補装具として認可され、公的支援が拡充されたのです。

その後、2010年と2012年にはさらに改正が行われ、障害者手帳を持たない重度の疾患患者も対象に含まれるようになりました。これにより、より多くの人々がこの装置を利用できるようになり、コミュニケーションの可能性が広がりました。

装置の機能と対象者

重度障害者用意思伝達装置は、特に発音や発語が難しい方、または指先を動かすことが困難な方に最適です。進行性のALSや高位頸髄損傷、脳性麻痺などの身体的制約がある方々に役立ちます。操作方法は非常にシンプルで、スイッチ一つで操作ができ、オートスキャン機能により複数項目の選択も容易です。

装置自体はパーソナルコンピュータにソフトウェアをインストールした形となり、デスクトップ型やノート型、タブレット型といった様々な形状があります。また、プリンタが付属し、文字の印刷も可能です。これにより、日常的なコミュニケーションが豊かになります。文章の入力や定型文の登録、合成音声による発話などが行え、実際に使用することで意思の表出が促進されます。

現在の法制度と支援

現在、日本における重度障害者用意思伝達装置は厚生労働省の指導に基づき、補装具として認可されており、操作スイッチも補修の対象となっています。手続きは身体障害者リハビリテーション相談窓口での評価が必要で、理学療法士や作業療法士により適合性が評価されます。必要に応じて追加申請も可能です。

装置の種類や費用はさまざまで、機能によって幅広い価格が設定されています。例えば、ソフトウェア一体型の専用機は12万円から170万円の範囲で、スイッチの修理費用は1万円から8万円程度となります。すべての費用は厚生労働省の通知に基づいており、購入や修理基準は定期的に見直されています。

国際的視点

イギリスでは、重度障害者用意思伝達装置はNHSによって一部負担で提供されることがあります。また、慈善団体も支援を行っており、電子通信装置の資金提供を行う例もあります。他国でも似たような制度は存在しますが、その法制度や資金源は異なります。

結論

重度障害者用意思伝達装置は、身体障害者の方が自らの意思を他者に伝えるための重要な支援機器です。その機能性やサポートの充実により、多くの人々がコミュニケーションを楽しむことができる社会の実現に寄与しています。

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