野口遵

野口遵について

野口遵（のぐち したがう、通称じゅん、1873年7月26日 - 1944年1月15日）は、日本の著名な実業家で、日本窒素肥料（チッソ）を中心に日窒コンツェルンを一代で築き上げました。その業績から、「電気化学工業の父」や「朝鮮半島の事業王」などと讃えられました。彼はチッソの設立だけでなく、旭化成、積水化学工業、積水ハウス、信越化学工業などの企業の基礎を築いた人物でもあり、日本の化学産業の発展に大きく寄与しました。

幼少期と学歴

野口は1873年に金沢で士族の家庭に生まれました。東京師範学校附属小学校を卒業後、東京府中学に進学しましたが、そこでは問題行動を起こして退学処分を受け、その後成立学舎を経て1898年に帝国大学工科大学電気工学科を卒業しました。卒業後、郡山電灯に技師長として赴任し、さらにシーメンス東京支社に入社しました。

事業の開始と発展

1903年、野口は宮城県の三居沢カーバイト製造所で日本初となるカーバイド製造事業に着手し、続いて1906年には曾木電気を設立、鹿児島県の大口に曽木水力発電所を開設しました。その後、1908年には曾木電気と日本カーバイド商会が合併し、日本窒素肥料が設立されました。この工場では水俣においてカーバイドの製造が行われ、後に日本の窒素肥料事業の礎となりました。

1914年には広島電灯の取締役に就任し、中国山地や太田川水系の電源開発に関わりました。これにより、彼の事業は順調に拡大していきます。1919年には広島市に移住し、ここでも電力事業の設立を進めました。

朝鮮半島進出

1924年には日本窒素肥料の朝鮮半島への進出を決定し、幅広い事業を展開しました。朝鮮水電を設立し、取締役社長に就任。1930年代には、朝鮮の水力発電所や電力供給事業に大きく関与し、「政商」としての地位を確立しました。特に、鴨緑江水系における大規模な水力発電所の建設に従事し、地域の経済発展にも寄与しました。

晩年と功績

1940年には京城で脳溢血に倒れ、その後、実業界から引退しましたが、鉱山の管理や教育支援に尽力しました。私財を投じて野口研究所を設立し、朝鮮奨学会にも寄付を行い、教育や科学技術の振興に寄与しました。1942年には勲一等瑞宝章を受賞し、その業績が評価されました。1944年1月15日、静岡県韮山町で病没、享年72歳でした。

野口遵の事業と彼が遺した企業群は、現代の日本の産業において重要な役割を果たしており、彼の影響は今もなお広がっています。彼の業績は日本や朝鮮半島の産業発展に寄与し続けています。

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