野島寿三郎

野島寿三郎（1932年2月28日生まれ）は、岩手県盛岡市出身の歴史家であり、特に紙くず研究家として知られています。早稲田大学文学部を中退後、日本住宅物流センターに勤務、その後ギター教師として生計を立てる傍ら、江戸文化への造詣を深めました。飯島利種という筆名で浮世絵に関する著作も発表しています。

彼の研究対象は多岐にわたり、歌舞伎、浄瑠璃といった伝統芸能から、浮世絵、吉原、江戸の富士講など、江戸時代の文化や風俗に関する広範な資料を収集・研究しています。中でも特筆すべきは、紙くずの収集と保存に対する情熱です。一般には価値がないと見なされる紙くずの中に、歴史の断片や庶民の生活の痕跡を見出し、独自の視点から分析を行っています。

そのユニークな活動はテレビ番組でも紹介され、「開運!なんでも鑑定団」には「紙くず鑑定士」として出演し、注目を集めました。また、「日本絵葉書会」の顧問も務めるなど、幅広い分野で活躍しています。

主な編著としては、以下のようなものがあります。

『日本暦西暦月日対照表』（日外アソシエーツ、1987年）
『歌舞伎人名事典』（日外アソシエーツ、1988年）
『歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典』（日外アソシエーツ、1990年）
『歌舞伎・浄瑠璃外題事典』（日外アソシエーツ、1991年）
『公卿人名大事典』（日外アソシエーツ、1994年）
『ペーパーコレクション入門 紙くず収集百科』（日外アソシエーツ、2003年）
『日本の紙クズ 大正・昭和の庶民派レトログラフィックス 野島寿三郎コレクション』（ピエ・ブックス、2004年）
『昭和30年・40年代の江戸川区 なつかしい青春の記憶』（村上昌共監修、三冬社、2009年）

これらの著作からもわかるように、野島寿三郎は、歴史、芸能、庶民文化といった多様な領域に精通しており、その知識と情熱をもって、忘れ去られようとしている日本の文化遺産を掘り起こし、現代に伝えています。特に紙くず研究においては、他に類を見ない独自の視点と方法論を確立しており、その研究成果は、今後の歴史研究においても貴重な資料となることが期待されています。彼の活動は、単なる懐古趣味ではなく、過去の文化から学び、未来に活かすための重要な試みであると言えるでしょう。

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