野川橋

仙台市青葉区の野川橋：歴史と自然が交差する場所

仙台市青葉区に架かる野川橋は、広瀬川の流れを挟み、仙台市道白沢熊ヶ根線を繋ぐ全長47.6メートルの橋です。その歴史は古く、江戸時代にまで遡ります。

江戸時代の遺構と交通路

野川は、かつて広瀬川の別称として、広瀬川、大倉川、青下川の合流点付近とその周辺の河原を指していました。橋の周辺には人家が点在していましたが、河岸段丘上に位置していたため、野川橋を渡るには、南北どちらからも急な坂道を上り下りしなければなりませんでした。特に北側の野川坂は急勾配で知られていました。

明暦4年（1658年）頃には既に橋が架けられていたと推測されます。それ以前は、人々は徒歩で川を渡っていたことでしょう。安永3年（1774年）頃の記録によると、当時の野川橋は長さ約36メートル、幅約2.7メートルの土橋で、水深約1.5メートル、幅約30メートルの川に架けられていたとされています。江戸時代から明治時代にかけては、この橋を含む広瀬川沿いの作並街道が、仙台と山形を結ぶ重要な交通路として機能していました。

自動車交通が盛んになるにつれ、野川橋周辺にも屈曲した自動車道が整備されましたが、北側の急坂は通行の大きな障害となっていました。現在の野川橋は、昭和12年（1937年）に完成した連続鈑桁橋です。しかし、昭和29年（1954年）、より上流に坂を必要としない熊ヶ根橋が完成すると、野川橋の交通としての役割は大きく減少しました。

清流と環境

野川橋周辺の広瀬川の水質は良好です。2008年度の仙台市と宮城県公衆衛生協会による調査では、野川橋付近の平均流量は毎秒3.5立方メートル、BOD（生物化学的酸素要求量）平均値は0.6mg/L、透視度は60cm以上と測定されました。その後も水質調査は継続され、2011年度にはBOD75パーセンタイル値が0.5mg/L、2019年度には0.5mg/L以下と、良好な水質が保たれていることが確認されています。

歴史と自然の融合

野川橋は、単なる橋梁としてだけでなく、江戸時代からの歴史、そして周辺の自然環境と密接に結びついた存在です。急峻な地形、かつての主要交通路としての役割、そして現在も良好な水質を保つ広瀬川。これらの要素が複雑に絡み合い、野川橋の歴史と魅力を形作っています。現代においては、歴史的価値と自然環境の両方を考慮した保全と活用が求められています。訪れる際には、その歴史と自然に思いを馳せてみてください。

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