野手耐

野手耐（ので たえる）

生涯

野手耐は、1876年（明治9年）8月17日に茨城県豊田郡（現在の茨城県下妻市）で生まれました。父は自由民権運動家の野手一郎です。同志社普通学校、第二高等学校を経て、1904年（明治37年）に東京帝国大学法科大学を卒業しました。

官僚としてのキャリア

大学卒業後、1904年11月に文官高等試験行政科試験に合格し、大蔵省に入省、主税局に配属されました。その後、統監府に転じ、朝鮮総督府でキャリアを重ねます。鎮南浦税関長、釜山税関長、事務官、逓信局海事課長、海員審判所長、営林廠長など、多くの要職を歴任し、1924年（大正13年）に退官しました。

県知事時代

1927年（昭和2年）5月、埼玉県知事に就任しました。同年11月には和歌山県知事に転任し、財政難の中で産業振興に努め、経費節減も実施しました。しかし、1929年（昭和4年）7月に知事を休職し、同年8月8日に依願免本官となり退官しました。

弁護士としての活動

県知事退任後は、広島市で弁護士として活動しました。

同志社高等商業学校長

1938年（昭和13年）12月、同志社からの要請を受け、同志社高等商業学校長に就任しました。しかし、教員経験がなかったことや、同志社本部への強い主張を行ったことなどから、学校内で軋轢が生じました。結果として、同志社は定年制を適用し、1941年（昭和16年）8月に校長を退任しました。

その後

再び広島市で弁護士として活動していましたが、1945年（昭和20年）8月6日の原爆投下により死去しました。

人物

野手耐は、官僚として朝鮮総督府で要職を歴任し、その後、県知事や教育者としても活躍しました。その一方で、組織内で軋轢を生むこともあり、波乱に満ちた人生を送った人物です。

参考文献

歴代知事編纂会編『新編日本の歴代知事』歴代知事編纂会、1991年。
秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年。
埼玉県教育委員会編『埼玉人物事典』埼玉県、1998年。
『同志社百年史 通史編二』学校法人同志社、1978年。

もう一度検索