野本寛一

野本寛一氏の民俗学への貢献

野本寛一（のもと かんいち）氏は、1937年2月14日生まれの日本の著名な民俗学者です。彼は筑波大学で1988年に「生態民俗学序説」という論文を通じて文学博士の学位を取得し、近畿大学の名誉教授として多くの学生に民俗学の楽しさを伝えてきました。彼の研究は、独自のフィールドワークに基づいており、特に周辺に生息する自然環境や地域文化との関係を重視している点が特徴です。彼は「環境民俗学」の基礎を築いており、そのため彼の著書は、環境と民俗文化の交差する点を探求する内容となっています。

来歴

静岡県で生まれた野本氏は、1959年に國學院大學文学部を卒業しました。彼の学問の旅はこの後に続き、1988年には筑波大学での研究を経て、近畿大学に助教授として着任します。1993年には同大学の文芸学部文化学科の教授に昇格し、その後多くの役職を歴任しました。1996年には近畿大学の民俗学研究所の所長となり、2004年からは柳田国男記念伊那民俗学研究所の所長も務めました。2007年に近畿大学を定年退職し名誉教授となります。

彼の業績は高く評価され、2015年には文化功労者の称号を受けることになりました。また、2017年には瑞宝重光章を授与され、これによって彼は民俗学者では柳田国男、本田安次、谷川健一に続く4人目の受賞者となりました。

著書

野本氏は豊富な著書を持ち、その数は30冊以上に上ります。彼の代表的な著作には、1975年に発表された『石の民俗』や1978年の『峠 文学と伝説の旅』、また1984年の『焼畑民俗文化論』などがあります。特に『生態民俗学序説』は、彼の学問的視点を理解するうえで不可欠な一冊と言えるでしょう。また、様々な環境問題と民俗文化の関係を探った『自然災害と民俗』や、地域の風土に根ざした『四万十川民俗誌 人と自然と』など、彼の研究は多岐にわたっています。

彼はまた共編著も多く手がけており、2011年に編纂された『食の民俗事典』や、2013年の『日本の心を伝える年中行事事典』など、他の専門家とともに協力して作成した重要な資料も数多く存在しています。

彼の業績は民俗学だけでなく、地域の文化や環境問題についての深い理解を促進するものであり、今後もその影響は長く残り続けることでしょう。野本寛一氏の研究は、地域社会や自然環境と人間生活の関係を解き明かす重要な手助けとなり、多くの後進に影響を与えています。

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