野村彦四郎

野村彦四郎：日本の教育改革に尽力した情熱的な教育者

野村彦四郎は、嘉永元年（1848年）に薩摩藩で生まれ、明治時代に日本の教育界で重要な役割を果たした人物です。彼は、旧薩摩藩士の家系に生まれ、幼少の頃から藩主の側近として仕えました。幕末の動乱期には、禁門の変や秋田戦争にも参加し、武士としての経験も積んでいます。

教育者としての始まり

明治維新後、野村は新しい時代に対応するために教育の重要性を認識し、開拓使仮学校に入学。しかし、学則改正に反対したため退学となります。その後、仲間と共に学業を続け、慶應義塾にも在籍しました。明治7年（1874年）には宮崎県で学区取締や区長を歴任し、教育行政に携わるようになります。

石川県での活躍

その後、野村は石川県に転じ、学務課に勤務しながら、石川県師範学校（現在の金沢大学の前身の一つ）の初代校長に就任。さらに、中学教員養成機関である啓明学校や女子師範学校の校長も兼務し、石川県の教育の発展に貢献しました。しかし、県令との対立により羽咋郡長に左遷されます。

京都府での教育改革

その後、野村は京都府に移り、学務課長に就任。ここでも教育改革に尽力し、文部省が制定した小学校教則綱領に基づいた教則改正や体育の奨励を行いました。自ら「体育場」を建設し、学校関係者だけでなく一般市民にも体操や武道などを指導しました。また、京都府教育会の設立にも中心的な役割を果たし、京都府の教育振興に大きく貢献しました。

高等教育機関での功績

明治18年（1885年）、野村は文部省の役人となり、専門学務局に勤務。東京大学予備門長心得を経て、第一高等中学校（現在の東京大学教養学部の前身）の初代校長に就任しました。さらに、体操伝習所長や高等師範学校幹事も兼任し、教育界での要職を歴任しました。明治20年（1887年）には、新設された第五高等中学校（現在の熊本大学の前身の一つ）の校長に転任し、開校準備に尽力しました。第五高等中学校では、紀元節式典の実施や乗馬教練、器械体操、弓道、野球などのスポーツを奨励し、学生の心身の育成にも力を注ぎました。しかし、校舎移転中に非職を命じられ、惜しまれつつも退官しました。

晩年と功績

晩年は、宮崎の江平で静かに過ごし、明治28年（1895年）にその生涯を閉じました。野村彦四郎は、日本の教育制度の発展に大きく貢献した人物として、その名は後世に語り継がれています。彼の教育に対する情熱と実践は、現代の教育にも多くの示唆を与えてくれるでしょう。

野村彦四郎の主な役職

石川県師範学校（金沢大学の前身の一つ）初代校長
京都府学務課長
体操伝習所（筑波大学体育専門群の前身の一つ）所長
第一高等中学校（東京大学教養学部の前身）初代校長
第五高等中学校（熊本大学の前身の一つ）初代校長

著作活動

野村彦四郎は、教育に関する多くの著作も残しています。これらの著作は、当時の教育思想や実践を知る上で貴重な資料となっています。

「外城五番国府蒲生隊戦状」
「講習臨時会例」「日用事項教授備考」「教授上注意ス可キ条件」「訓練上注意要件」「単語図等授業心得要略」
「疑問十条ノ答弁」
「躰育上ノ演説」
「試験法ノ意見」
「野村文部権少書記官演説大意」
「談話」
「第五高等中学校長ノ示諭」
「明治二十年十一月十四日生徒入学式ノ節野村校長告示」
「第五高等中学校長及ビ教頭ノ示諭」
「明治二十一年十月十日生徒入学式ノ節野村校長告示」
「西村先生ノ七ツノ問ニ対シ浅見ヲ左ニ陳ス」
「身程愚案」
「先覚及知己諸友ニ質ス」
「対馬島ノ概況」

野村彦四郎は、激動の時代に日本の教育の礎を築いた偉大な教育者であり、彼の功績は永遠に語り継がれるでしょう。

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