野村豊

野村豊

野村豊（のむら ゆたか、1926年3月14日 - ）は、日本の外交官、国際公務員です。第八高等学校を経て、1947年に東京帝国大学法学部法律学科を卒業後、外務省に入省しました。

外務省でのキャリア

外務省入省後、在連合王国日本国大使館一等書記官などを経て、1965年に外務省経済協力局技術協力課長に就任。その後、1967年に外務省経済協力局国際協力課長、同年には同局政策課長と、要職を歴任しました。1969年には経済協力開発機構日本政府代表部参事官、1970年には在アメリカ合衆国日本国大使館参事官を務め、1973年には外務省国際連合局外務参事官、1974年には外務省経済局次長に就任。

1976年には外務大臣官房調査部長に就任し、1978年には駐ヴェネズエラ、グレナダ、トリニダード・トバコ、スリナム、ガイアナ、バルバドス特命全権大使を兼任しました。1981年には国際協力事業団理事に就任しています。

駐イラン特命全権大使

1983年からは駐イラン特命全権大使を務めました。在任中の1985年3月には、テヘラン邦人救出事件が発生しました。この事件は、イラン・イラク戦争の激化に伴い、在留邦人の退避が必要となった際に、トルコ航空機が派遣されたことで知られています。

その後

1987年には駐スウェーデン特命全権大使に就任。1991年から1996年まで国際機関日本アセアンセンター事務総長を務めました。1996年には勲二等旭日重光章を受章。1997年には日本国際協力システム理事長に就任しました。

トルコ航空機によるテヘラン邦人救出事件

1985年3月19日に発生したテヘラン邦人救出事件は、日本とトルコの友好関係を象徴する出来事として知られています。2015年には、日本トルコ合作映画『海難1890』が制作され、野村豊大使役を俳優の永島敏行が演じました。

映画では、野村大使がトルコ側に働きかけ、トルコ航空機の派遣が決定されたという筋書きになっていますが、野村大使自身は、そのような働きかけは行っていないと発言しています。また、日本トルコ協会の資料にも、そのような事実は記載されていません。

実際には、伊藤忠商事イスタンブール支店長の森永堯氏が、トルコのオザル首相に直接働きかけ、数時間のうちにトルコ航空の派遣が決定したというのが真相です。森永氏の著書や、門田隆将氏の著書にも、その経緯が詳細に記述されています。

野村元大使は、2007年のシンポジウムで、トルコの駐イラン大使から、トルコ航空機が派遣されるという連絡を、日本外務省が事前に知らされていなかったことを明らかにしました。このことから、日本政府が直接的な救出要請を行ったわけではないことがわかります。

この事件を巡っては、様々な情報が錯綜しており、野村元大使の貢献については、事実と異なる情報も多く流布しています。しかし、実際には、森永氏の働きかけとトルコ政府の迅速な決断が、邦人救出を成功させた大きな要因であったと言えるでしょう。

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