野獣を消せ

映画『野獣を消せ』解説

『野獣を消せ』は、1969年2月22日に公開された日活制作の映画です。監督は長谷部安春、主演は渡哲也が務めました。本作は、アラスカから帰国した狩猟家が、妹を自殺に追い込んだ犯罪グループに対し、復讐を遂げるという、ハードボイルドアクション作品です。

概要

本作は、キャッチコピーに「足が千切れ飛びはらわたが飛び散る」とあるように、終盤にはスプラッター映画さながらの激しい人体損壊描写が盛り込まれています。これは、当時のアクション映画としては異例であり、観客に強い衝撃を与えました。また、単なるアクション映画としてだけでなく、主人公の復讐劇を通して、当時の社会問題であった基地周辺の犯罪や暴力団の横暴さを描いている点も注目すべき点です。

あらすじ

アラスカで野生動物の生態調査をしていた浅井徹也は、妹の里子が暴行の末に自殺したことを知り帰国します。妹の死の悲しみを抱えながらバイクで走っていた徹也は、不良グループに絡まれていた大物政治家の娘・山室恭子を助けます。その不良グループは、矢田という男を中心に、横田基地周辺で悪事を重ねており、ヤミ酒の押し売りや恐喝、婦女暴行などを繰り返していました。そして、彼らは再び恭子を襲いアジトに監禁します。徹也は、恭子を救出しようとアジトに乗り込むも逆に捕まってしまい、目の前で恭子は一味に暴行されてしまいます。その際、徹也は一味のビルが妹のペンダントを身に着けていることに気づき、矢田たちが妹を死に追いやった張本人だと確信します。怒りに燃える徹也は、恭子とともに脱出、猟銃を手にアジトへ戻り、狩猟で培った技術を駆使して、次々と一味を殺戮していきます。復讐を遂げた徹也は、静かにその場を去るのでした。

キャスト

• - 浅井徹也: 渡哲也
• - 矢田: 藤竜也
• - 佐土: 川地民夫
• - 能呂: 尾藤イサオ
• - 丸木: 杉山俊夫
• - 山室恭子: 藤本三重子
• - マリ: 集三枝子
• - ビル: 山野俊也
• - 婚約者: 山根久幸
• - 吉岡ゆり（浅井里子）: 浅井里子
• - 太郎: 城アキラ
• - 刑事部長: 雪丘恵介
• - その他、多くの俳優が出演。

スタッフ

• - 監督: 長谷部安春
• - 脚本: 永原秀一、中西隆三
• - 企画: 増田彌寿邦
• - 撮影: 姫田眞佐久
• - 照明: 松下文雄
• - 録音: 橋本文雄
• - 美術: 木村威夫
• - 助監督: 蔵原惟二
• - 色彩計測: 佐藤重明
• - 製作担当者: 長谷川朝次郎
• - 編集: 鈴木晄
• - 音楽: 坂田晃一

併映作品

本作と同時上映されたのは、『女番長 仁義破り』です。江崎実生が監督を務め、長谷川照子が主演した作品です。

その他

『野獣を消せ』は、その過激な描写から賛否両論を呼びましたが、渡哲也のハードなアクションと、復讐劇というシンプルなストーリーが観客を惹きつけ、カルト的な人気を博しました。現在でも、日本映画史に残るアクション映画として、語り継がれています。

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