野球ミャンマー代表

野球ミャンマー代表

ミャンマーの野球ナショナルチームである野球ミャンマー代表について解説します。その歩みは、2000年に野球連盟の設立準備委員会が発足したことに始まります。この委員会は、元国連職員である岩崎亨氏を監督として招聘し、ミャンマー国内での野球指導をスタートさせました。

創設期と国際的な支援

活動開始間もない2000年5月には、在留邦人チームとの間で初の野球を通じた国際交流となる日緬友好野球試合が開催されました。同年7月にはアジア野球連盟や日本高等学校野球連盟へ支援が要請され、野球用具の提供や指導者の派遣など、多岐にわたるサポートが開始されます。その後も、日本からのチームとの親善試合やアジア野球連盟主催の野球クリニックへの選手派遣など、国際的な活動への参加や交流が積極的に行われました。

国内基盤の整備と連盟の公式化

国内における野球の基盤整備も着実に進められました。2002年4月には首都ヤンゴンでの野球場建設が開始され、同年5月末には完成。11月には完成記念式典が執り行われ、この球場はミャンマー野球の中心的な施設となりました。

ミャンマー野球連盟の公式化は2005年を迎えて実現します。同年2月、ミャンマーオリンピック委員会の認可を受けて正式に発足し、国内スポーツ団体としての地位を確立しました。この公式化により、同年4月にはアジア野球連盟、6月には国際野球連盟（IBAF）への加盟が承認され、国際大会への参加資格を得ることとなりました。

国際大会への挑戦

国際加盟後、代表チームは東南アジア競技大会に初めて出場します。2005年11月、マニラで開催された同大会では、初の国際公式戦に臨み、1勝4敗の成績で4位となりました。この挑戦に備え、同年8月から9月にかけては日本で集中的な強化合宿を実施しました。

続く2007年12月のバンコク大会にも参加し、2勝3敗で再び4位となるなど、東南アジア地域における競技力の向上を目指しました。また、周辺国との交流として、2008年12月にはタイ代表との第1回泰緬親善大会に参加しました（0勝3敗）。2009年4月のアジアン・ベースボール・カップでは、グループリーグで1勝を挙げましたが、順位決定戦で敗れ、最終順位は6位でした。

日本からの継続的な支援

ミャンマー野球の発展には、日本からの継続的な支援が大きな力となりました。2005年12月には滋賀県高等学校野球連盟から指導員が派遣され、現地での指導者研修が実施されました。2006年8月には、後に代表監督となるアウン・ナイン・ウー氏が、日本高等学校野球連盟と滋賀県高等学校野球連盟の協力のもと、日本で審判研修を受ける機会を得ています。さらに、2006年12月には滋賀県高校選抜チームがミャンマーを訪れ、交流試合を行うなど、草の根レベルでの国際交流も活発に行われました。

国内競技環境の整備と選手の海外挑戦

国内における競技の普及とレベルアップのため、国内リーグの創設も進められました。2006年4月には複数のクラブチームが連盟に登録され、国内でのチーム活動が本格化します。そして、2010年1月には第1回ミャンマークラブチーム対抗戦およびクラブチーム・リーグ戦が開催され、国内の競技環境が整備されました。このリーグ戦はその後も継続しています。

ミャンマー野球の歴史において特筆すべき出来事として、ミャンマー人選手初の海外プロリーグ挑戦があります。2013年6月、投手であるゾーゾー・ウー選手が、日本の独立リーグである四国アイランドリーグplusの香川オリーブガイナーズに入団を果たしました。これはミャンマー野球界全体にとって大きな一歩となりました。

歴代監督と本拠地

代表チームの指揮官としては、創設期の岩崎亨氏（2000年～2006年）に続き、アウン・ナイン・ウー氏が2006年から現在まで監督を務めています。チームの本拠地は、ヤンゴン市スポーツ学校内にあるチャイカサン球場です。

結び

野球ミャンマー代表は、2000年の活動開始以来、多くの困難を乗り越えながら着実に発展してきました。国際的な支援と交流、国内の基盤整備、そして選手たちの努力によって、ミャンマーにおける野球の存在感を高めています。今後のさらなる普及と競技力向上に期待が寄せられています。

もう一度検索