野良田の戦い

野良田の戦い

野良田の戦い（のらだのたたかい）は、1560年8月中旬に近江の滋賀県彦根市野良田町及び肥田町で行われた戦闘で、北近江の戦国大名・浅井長政が南近江の六角承禎軍に勝利した歴史的な出来事です。この合戦により、浅井家は北近江における覇権を確立しました。戦場の名称から、別名で野羅田表の戦い、肥田の戦い、宇曾川の戦いとも呼ばれています。

合戦までの経緯

浅井家は元々、北近江の守護であった京極家の家臣でしたが、浅井亮政の代にその地位を強化しました。亮政は越前の朝倉家の支援を得て、浅井家を戦国大名としての地位に押し上げました。しかし、亮政が亡くなると、後を継いだ久政は統率力に欠け、南近江の六角氏の圧力に屈服し、従属的な立場に立たざるを得ませんでした。その結果、久政の嫡子は六角家の嫡子の名前を受けて賢政と名乗り、さらに六角家の重臣の娘を妻に迎えることとなります。

1559年、久政の屈辱的な外交方針に対して家臣たちは不満を募らせ、クーデターを起こしました。その結果、久政は隠居に追い込まれ、賢政は長政と名を変え、六角との関係を断ってさらなる勢力拡大を図ります。長政は、合戦前に六角家の国人領主に対する調略を行い、肥田城主の高野備前守が浅井家に寝返るという結果をもたらしました。

野良田合戦の展開

六角承禎は高野備前守の裏切りに激怒し、すぐに肥田城への攻撃を開始しましたが、水攻めは失敗しました。この失敗を知った長政は肥田城への救援に向かい、承禎軍との接触が生じました。両軍は宇曾川を挟んで対峙し、六角軍は2万5000人の大軍を率いていました。浅井軍は1万1000人程度で、初戦では六角軍が優勢でした。しかし、浅井軍は反撃に成功し、承禎軍は意表を突かれる形となり、最終的には浅井軍が勝利を収めました。この合戦では、六角軍が920人、浅井軍が400人の死者を出したとされています。

戦後の影響

勝利を収めた浅井長政は、近江における政治的地位を確立し、北近江の戦国大名としての地歩を固めました。しかし、隠居した久政には未だ影響力が残っており、これは後に織田信長との対立を招く要因となることとなります。近年の研究では、長政が六角氏への臣従を放棄し、朝倉氏への従属を選んだ可能性も指摘されています。この選択が信長との断絶に繋がったとも考えられています。

敗北した六角家は、内部での動揺が大きく、3年後には観音寺騒動が勃発します。承禎とその息子・義治は一時的に追放されますが、重臣の蒲生定秀の尽力で復帰を果たします。しかし、六角家の衰退は著しく、後に信長に滅ぼされる運命にあります。これとは別に、承禎が浅井家と織田家を仲介したとの説もあり、両家の一時的な和睦の可能性も指摘されていますが、その後は敵対することにもなってしまいます。

このように、野良田の戦いは戦国時代における重要な合戦であり、浅井長政の地位を堅固なものとし、また六角家に大きな影を落とす結果となったのです。

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