野辺地戦争

野辺地戦争の概要

野辺地戦争（のへじせんそう）は、明治元年9月23日（1868年11月7日）に発生した、戊辰戦争（会津戦争）の一部である。この戦闘は、奥羽越列藩同盟に属していた盛岡藩が新政府に降伏した後、新政府側の弘前藩と黒石藩連合が盛岡藩の地域に侵攻したものだ。戦闘は短期間で終了し、双方の藩は私闘として取り扱われたが、実際には小規模な局地戦に過ぎなかった。

背景

弘前藩は1868年7月13日に奥羽越列藩同盟からの脱退を決定し、15日には正式に脱藩した。この脱退は周辺藩との緊張を生む結果となり、弘前藩は自らの立場を中立と説明しつつ、久保田藩に対する支援を行うなど、水面下では新政府側の行動を取っていた。弘前藩は同時に庄内藩への援軍要請も行い、外交手腕を駆使していたが、盛岡藩との関係は微妙な緊張をはらんでいた。

しかし、盛岡藩も弘前藩の動きに警戒を強め、軍事的な準備を整えつつあった。実際、盛岡藩は弘前藩の攻撃を恐れ、7月中に海上防衛を徹底するために兵力を配置し続けた。

野辺地での戦闘

戦闘は1868年9月23日に始まった。弘前藩と黒石藩の連合軍は小湊に駐屯し、盛岡藩の野辺地馬門村に侵攻。ますます強まる火に映える村を背景に、同連合軍は一斉に放火を行った。これに対して盛岡藩は軍事局からの反撃を試みるが、弘前藩側の猛攻にさらされ、結果的にその防衛を失う。

この戦闘では弘前藩兵が数十名の被害を出し、特に指揮官の数名は戦死してしまった。こうした事態により、新政府軍における弘前藩の意義も問われる結果となり、戦後は多くの譲歩を迫られることとなる。

戦後の処理

戦闘の終結後、10月2日には盛岡藩が新政府軍の参謀局に呼び出され、戦闘の責任を追及された。盛岡藩の指導者が不在の中、新渡戸傳らが出頭し状況の説明を求められたが、処分を避けるために交渉を行う結果となった。この戦闘は最終的に両藩間の私闘という形で処理され、多くの責任追及は避けられた。

また、戦闘後1年経った明治2年の11月、弘前藩から被害に遭った馬門村への賠償提案が行われた。しかし、村の庄屋が提案を拒否し、賠償案は受け入れられなかった。この拒否は単に地元の意地を示すものでなく、藩同士の過去のいざこざに対する懸念も影響していた。

結論

野辺地戦争は、戊辰戦争の中でも特に小規模で短期間の戦闘であったが、両藩の関係を緊張させ、その後の動きに影響を及ぼす重要な出来事であった。対外的には新政府軍としての立場を強化するための試みとして位置付けられたが、内部的には非常に複雑な状況が渦巻いていた。

一方で、戦後の歴史的な評価や村民の意見、またその後の藩境の調整についても大きな意味を持っている。これにより、後の時代に向けた地域間の関係を形成していく過程が見えてくる。

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