新渡戸傳

新渡戸傳（にとべ つとう）

新渡戸傳、または新渡戸伝は、江戸時代後期の武士であり、商人としても活躍した人物です。盛岡藩（南部藩）の家老、後に大参事を務めました。本名は新渡戸常澄、号は太素。

生涯

寛政5年（1793年）に花巻城下で、新渡戸伝蔵（維民）の子として生まれました。幼名は縫太。

文政9年（1826年）、南部藩の勘定奉行であった時に、藩の財政を立て直すため、45歳で三本木原の開墾に着手しました。この開墾事業は、傳の死後も子や孫の代まで引き継がれました。

明治元年（1868年）には盛岡藩の目付役となっています。

明治4年（1871年）9月27日に79歳で亡くなりました。三本木の開拓事業は、子の十次郎、孫の七郎（新渡戸稲造の兄）の時代まで受け継がれましたが、明治20年に資金難から行き詰まりました。第一国立銀行盛岡支店八戸出張所が融資を行いましたが、これも焦げ付き、同行の頭取であった渋沢栄一が回収不能となった不良債権を個人で代弁し、その担保物件であった原野を引き受け、渋沢農場を開きました。

大正4年（1915年）には、その功績が認められ、従五位を追贈されました。

系譜

父：新渡戸伝蔵
子：
次男：新渡戸十次郎（1820年 - 1868年） - 南部利剛の城使や用人を務めた。
四男：太田時敏 - 練八郎、太田金五郎の養子
女子：わか
孫：
新渡戸七郎（1843年生） ‐ 新渡戸十次郎の嫡子。十次郎が早世したため、七郎が新渡戸伝家本家を継いだ。
新渡戸稲造（1862年 - 1933年） - 新渡戸十次郎の三男
新渡戸稲雄（1883年 - 1915年） - わかの長男

新渡戸傳は、新渡戸稲造の祖父にあたります。

関連書籍

新渡戸傳に関する書籍として、以下のものがあります。

川合勇太郎『太素新渡戸傳翁』（新渡戸翁顕彰会、1936年）
川合勇太郎『三本木平開拓小史』（新渡戸翁顕彰会、1936年）

これらの書籍は、新渡戸翁顕彰会が郷土史家・ジャーナリストの川合勇太郎に依頼して執筆されたものです。

関連項目

南部信方
七百駅
稲生川 - 新渡戸が開発を発起した人工河川

参考文献

石井良助『編年改訂 江戸武鑑 文政武鑑1』（柏書房）
『岩手県姓氏歴史人物大辞典』
* 花巻市教育委員会『花巻市史 第3巻』国書刊行会、1981年。

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